人気エロゲーブランド・elf(エルフ)が完全にブランドとしての活動を停止して4年となる。
エルフといえば、『ドラゴンナイト』、『同級生』、『下級生』、『河原崎家の一族』、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』、『媚肉の香り ネトリネトラレヤリヤラレ』、『遺作』をはじめとした『伊頭家シリーズ』など、RPGから王道の泣きゲー、鬱ゲーとジャンルにとらわれることなく、数々のヒットを生み出してきた。『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』は近年、TVアニメ化もされ、いまだ同ブランドの影響力は大きい。
さてそんなエルフだが、最終作となったのが『麻呂の患者はガテン系』シリーズである。FANZA限定配信でのみのリリースとなり、パッケージ販売がなく、ダウンロードのみという手法は、現代的と言える一方で、エロゲー業界の現状を表しているかのような終焉であった。
シリーズ最終作『麻呂の患者はガテン系3 完結編』では、エンドクレジットには処女作である1988年リリースの『ドキドキ!シャッターチャンス!!』から最終作までのリリース年表が流れ、「Thank you for the last 27 years」というメッセージが添えられた。この演出に涙したファンは多かったのではなかろうか。
さて、そんなエルフ最終作も、ミルキーズピクチャーズよりエロアニメ化されている。まずは大枠のあらすじだ。
物語は闇医者・彦麻呂が人妻・咲美を触診するところから始まる。しかもこの触診は、旦那の目の前で、しかも直接タッチして行われるのだ。目の前で妻の胸を弄ばれることで、旦那は妙な性癖にも目覚めるも、嫉妬から麻呂の両腕にケガを負わせてしまう。
生活に支障が出るほどの大けがを負ったが、麻呂は自分が悪いことを自覚しているため、大ごとにはしなかった。それに責任を感じた咲美は旦那に内緒で、麻呂の食事から、風呂、トイレまで生活をサポートする。その献身的な姿に、麻呂は咲美を好きになってしまう。
腕が完治し、咲美のサポートが不要となったものの、彼女の姿が傍にない寂しさを覚える麻呂。そこで彼は咲美の家を訪れ、旦那が寝ている横で彼女を夜這いしてしまい……。
上記は1巻のあらすじだが、言えることは意外と純愛であること。原作でもそうだが、麻呂は見た目のインパクト以上に、実に紳士的で心優しい男だ。2巻では、バカな旦那により公開NTRされる咲美を身をもって守るなど、男らしい一面も見せる。
最後が尻切れトンボで終わるが、彼の紳士度は最後まで落ちることはない。麻呂は、ヒロインよりユーザーに愛される稀有な男主人公かもしれない。
作画は原作同等に崩れることなく、高いクオリティだ。アニメ作品としても十二分に楽しめる。エルフがどれほど優れたブランドだったか、エロアニメでも伝わってくる良作といえよう。
(文=穴リスト猫)
【視聴はこちら!】
・麻呂の患者はガテン系 咲美の章
・麻呂の患者はガテン系 咲美の章2