イルカと少年とアイドルと|架乃ゆら昭和コラム「美徳のゆらめき」

『S1』女優・架乃ゆらちゃんが昭和愛を語る新連載コラム「美徳のゆらめき」第二弾! 今回は城みちる『イルカにのった少年』を熱く語る

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架乃ゆら

 「昭和」が大好きな大人気セクシー女優の架乃ゆらちゃんコラムが大好評だ。

 昭和歌謡、純喫茶、特撮作品、古着など古き良き「昭和」時代のカルチャーが大好きで、造詣が深い彼女が、その圧倒的な熱量を原稿に向け、自身が推す昭和カルチャーを独自に解説。

 連載第2回目は城みちるの『イルカにのった少年』にスポットを当ててもらった。

 それでは「架乃ゆら昭和コラム・美徳のゆらめき#2」をご覧いただきたい!

※ ※ ※

 メンズサイゾーをご覧のみなさんこんにちは! 架乃ゆらです。

 先月から始まったメンズサイゾーさんでの連載コラムですが、ありがたいことにどうやら好評なようでとてもうれしい限りです。今後ともゆるやかに楽しんでいただければ幸いです。

 先月から新たに始めたことと言えば、パーソナルジム通い!

 マネージャーさんですらも「架乃ちゃんは絶対に続かないからジムなんて行かないほうがいい」と言い放つほどの運動音痴、略して“うんち”のわたしでも楽しく通い続けています。

 思えば学生時代、体育の時間が学生生活の中でも最も地獄の時間であり、対して仲良くもない生徒とペアを組まされボールの投げ合いをして、しょうもないミスをお互い繰り返し心にもない「ごめんね~」を言うだけの通称「無のキャッチボール」や、当たると痛いボールが複数飛び交い、人が人でなくなる「邪悪の競技ドッジボール」など、体育の授業というものはつまり球技が不得手な者には人権がない時間であり、「体育の授業が苦手=運動が苦手」、運動音痴なのだと自覚してさめざめ生きてきたのですが、体を動かすのは案外楽しく、リフレッシュにもなるし体力もつくし、どこの筋肉を動かすのか意識しながら運動するのはかなり脳にも肉体にもいい働きだなあと思っています!

 Instagramのストーリーにてジムでの様子を載せているのですが、たまにファンの方から、「ムキムキになっちゃうの?」など聞かれることがあります。

 しかし、ムキムキになるにはそれ相当な努力と根性とパワーが必要であり、わたしにも何人かムキムキの知人がいますが、彼女彼らは自らの肉体と真剣に向き合い磨きをかけてかけて、さらに極めた結果のムキムキなのであって、わたしのようにチョロチョロリンな人間がちょっとトレーニングしただけで、ムキムキになるはずがないのでご安心ください。

 トレーニングの目標としては今よりさらに引き締まった美しい肉体を目指しています!

 スーパー架乃になるためにまだまだ精進します。

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 さて、こちらのコラムではいわゆる昭和歌謡愛をテーマにしているのですが、わたしの昭和趣味は歌やアイドルだけに止まりません。昔ながらの純喫茶も大好きで、日夜、東京に点在する純喫茶を調べ、近くに寄った際には足を運ぼうとGoogleマップにピンをつけるのも昭和趣味のひとつです。

 例えば新宿にもいくつか素晴らしい純喫茶が存在し、その中でも大好きなのが新宿三丁目にある『カフェアルル』さんです。

 看板猫である次郎長と石松がそれぞれ好きな場所で好きなように過ごしていて、アンティーク調の内装に店員さんは中村明日美子作画のような方ばかりです。新宿摩天楼の中でアルルさんの中だけがまるでおとぎの世界か何かではないかと錯覚してしまいますが、不思議と居心地がとてもよく、時間の許す限りのんびり過ごしたくなるようなそんなお店です。

 特にアルルさんのナポリタンは「これぞ喫茶店のナポリタン!」という感じでおいしいんです!

 お店で出てくるナポリタンの中で現状一番おいしいと思っているのはアルルさんのナポリタンです。もちろんナポリタンだけでなく、カレーやコーヒーなどメニューは迷うほどに豊富で、もれなくおいしいので、お近くにお越しの際はぜひカフェアルルさんへ行ってみてくださいね。

 それでは今回もひとつの昭和歌謡をテーマにして好きなように熱く!語ろうと思います。

 第2回の今回、選んだのは城みちるさんの『イルカにのった少年』です!

 1973年にリリースされた記念すべきデビュー曲であり、なんと50万枚という驚異の大ヒットを記録し、翌年のレコード大賞で新人賞を受賞しました。

 その後もいくつかのシングルレコードをリリースしていますが、最もヒットした曲であり、間違いなく城みちるさんの代表曲と言っていいと思います。

 城みちるさんと言えば少女漫画からそのまま飛び出してきたような線の細い美少年であり、笑ってしまうようなフリフリのブラウスが似合ってしまう元祖王子様アイドルです。

 そんな城みちるさんが歌う『イルカにのった少年』という文字列は納得感しかなく、リトルマーメイドよろしく普段は海底の王国でイルカたちと楽しく暮らし、歌を歌うときだけ我々の世界へ姿を現しているのではないかと思ってしまうほどです。

 さて、たいていの第1話、物語の始まりというのは朝、主人公が目を覚ましたり自己紹介をしたりとわかりやすくスタートすることが多いのですが、こちらの楽曲はそんなことはしてくれません。

 イルカに乗った少年がすでにいて、誰も知らない南の海からやってくるところからはじまるのです。

 なぜ、少年はイルカに乗っているのか? なぜ、南の海からやってくるのか? そしてそれはなぜ、誰も知らない前提なのか? 我々の数多くの疑問点をほったらかしにして物語は進んでいきます。

 イルカに乗って少年は続けます。さみしい時は海に来て水平線を見てごらんと。すると愛の花束なるものを胸に抱いた少年が遠い国からやってくるのだそうです。

 いやなんで?

 もはや置き去りにされすぎて、この歌の世界において疑問を浮かべることは愚なのだと察します。

 「なぜ、少年はイルカに乗っているのか?」ではなく、「少年はイルカに乗っているものなのだ」と。

 「なぜ、南の海からやってくるのか?」ではなく、「イルカに乗った少年は南の海からやってくるものなのだ」と。

 卵からにわとりが孵るのを疑問に思わないように、マイナスとマイナスをかけるとプラスになるように、もはやそういうものなのだと理解するほかないことを1番のAメロで強制的に思い知らされます。

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 この歌で思い浮かぶ情景は海辺で悲しく涙を流す少女のもとへ、海の向こうからイルカに乗った少年がさっそうと登場し、少女をやさしく勇気づけるといったものでしょうが、徹底的に世界が少女に優しく、都合の良いものに仕上がっていますよね。

 まさに少女漫画の世界観そのものです。

 そしてこれがあの少女漫画から飛び出してきたリトルマーメイドプリンスである、城みちるさんが歌っているので、恐ろしいほどのマッチング具合に当時の少女たちは目眩がしたことでしょう。

 ほぼキャラクターソングですし、もはやトンチキとも言えるぶっ飛び具合とそれを許容するしかない受け手の構造は、わたしの好きなアイドルの型です。

 個人的にアイドルとは普通に生きていて巡り会えないようなものであってほしく、クラスに一人はいる存在などではなく、学校で一番、いや地域で県で国で、もっと大きく宇宙で最もキラキラと輝いている存在こそがアイドルであり、スターなのだと捉えています。

 もちろんそんな存在だけどなぜか身近に感じてしまったり、わたしと同じ人間なんだと分かるとより存在を強く感じて、さらに応援してしまうような、そこがアイドルの魅力だと思います!

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 そんな城みちるさんですがアイドルとしての活動期間は3年間とかなり短く、愛の花束を胸に抱きイルカに乗った夢のような王子様は、夢のように姿を消してしまいます。その後は結婚し子どもをもうけ、地元広島を中心にタレント活動などをされています。

 現在の城みちるさんが『イルカにのった少年』を歌う様子がYouTubeにいくつか上がっているのですが、優しい瞳とすてきな歌声、色あせないキラキラとしたオーラはまさに本物の王子様のようです。

 ひょっとしたら本物の王子様なのではないでしょうか、海底の王国の…。

 今回はこのへんで終わります。最後まで読んでくださってありがとうございます!

 次回もよろしくお願いします。

 

【架乃ゆら(KANO YURA)】
身長:156cm
スリーサイズ:B84(D)・W55・H86
生年月日:1998年12月28日
趣味・特技:昭和歌謡、特撮ヒーロー鑑賞
ツイッター:@kano_yura
インスタグラム:@kano__yura
公式ブログ:架乃ゆらオフィシャルブログ
YouTube:かのちゃんねる

(写真・構成=神楽坂文人Twitter@kagurazakabunji

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