澁谷果歩、TLから学ぶエロテクと乙女心|エロ漫画レビュー#01

澁谷果歩、TLレビュー連載始動

 こんにちは、元AV女優ながらエロコンテンツは漫画以外興味がない澁谷果歩です。そんな自分にとって大変ありがたいことに、本年からエッチなコミックをレビューするという新連載を始めさせていただくことになりました♪

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澁谷果歩

 一口にエロ漫画といっても、昨今は男性向けだけでなく女性向けのTL(ティーンズラブの略)が盛り上げっております。男性向けと比べると「いやらしさが足りないな〜」と思うこともたまにありますが、その一方で恋愛感情が丁寧に描かれていたりと「キュンキュンする」場面が多いのが特徴です。

 実際、そのプレイ内容や台詞運びなどに、女心をくすぐるヒントが散りばめられています。男性読者の方にも女性の願望を楽しく学べる機会になるでしょう。

 そんなわけで、これから「“オンナの共感コミックサイト”ウーコミ!」さんで配信されている作品を毎月読んでいこうと思います。今月はこちら!

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年上社長は天然溺愛モンスター~交際0日、処女を摘まれた朝にプロポーズ!?~(3巻配信中)

年上社長は天然溺愛モンスター~交際0日、処女を摘まれた朝にプロポーズ!?~(3巻配信中)

【作品内容】
「痛くないようにしますから」少し複雑な環境で育った私は秘書の仕事をしている。仕事に不満はないけど、血の繋がらない妹は私のことが嫌いで、家に居場所がない。だから、恋愛とか幸せになることに、どこか不安を感じて生きている。そんな私がかなり年上の人が集まる合コンに参加。もともと妹に押し付けられた合コンで乗り気じゃなかったんだけど、幸人さんは見た目も凄く若くて優しくて、とても一回り上とは思えない。意気投合した私は、彼と抜け出し、処女を卒業することに。優しく丁寧な愛撫で気持ちよくされて…。思っていたよりずっと気持ちいいのは、彼だから? そして処女を卒業した翌日、「僕と結婚してくれませんか?」突然のプロポーズなんてどういうこと? しかも彼は私の会社の社長さん!? これから私どうなるんだろう? 作品販売サイトはコチラ

 

 しょっぱなから、血の繋がっていない妹にいびられ「私の代わりにオッサンだらけの合コンに出席しなさい」と言われ、嫌々参加した飲み会で出会ったオジサマ(といっても35歳)にお持ち帰りされてしまうという流れ。これには一瞬、「共感できそうにないぞ…」とひるんでしまいました。

 しかも主人公・志穂は男性に不慣れな処女、相手の男性・幸人は「二人で抜けませんか」と誘ったわりに超ジェントルマン。酔っ払った彼女にキスしておいて、「ごめんなさい。会計は済ましておくので帰ります」と据え膳を遠慮する紳士ぶりに「そんなことある!?」と現実世界との落差を感じてショックでした。まさに二次元ならでこそ描ける理想と言えます。

 これは好みだけれど、私は修学旅行でヌーディストビーチに行ったり、オナニー中に上の階に住んでる女子が天井から落ちてきて挿入しちゃったり、エロゲーの中に異世界転生したりとか、完全にファンタジー感のある方が有り得ないラッキースケベ展開もすんなり受け入れられるタイプなので読みやすいんですよね。ヘタに現実味があると、「セクハラやん」「その発言は駄目でしょ」と倫理観が邪魔をして楽しめない。

 しかし、TLコミックは舞台が今の日本で会社の同僚や上司、後輩と恋に落ちるなど漫画の中じゃなくても有り得そうな背景とカップリングが多い。ライトノベルのトレンドである乙女ゲームの主人公に生まれ変わってたり、相手が獣系(人語を話す狼とか)なんてのもあるのですが、それらはどちらかというとオタク女子向けで、一般女子にはリアルな設定の方が圧倒的に主流です。

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 この作品も、実は幸人が志穂の働く大手企業のトップだったという王子様展開でした。しかも初体験&初夜翌朝に彼からプロポーズを受けてOKKしちゃう。主人公が養子として家庭でいじめられてる生い立ちからしても、かなりのシンデレラストーリーに眩暈がしてきます。世の中の酢いも甘いも学んだアラサーには眩し過ぎる世界でした…。

 そのお陰で御伽噺として一歩引いて読むことができたのですが、それくらいこのカップルは純粋なんです。幸人が志穂に一目惚れし、「かわいい以外の言葉が出てこない」と思うほどあっという間に夢中になっていく様は微笑ましく、素直に応援したくなります。そしてセックス中の彼女の反応が愛おしいったら。

 TLコミックでは女性から攻めるシーンがほとんど無いのですが、処女ということもあり志穂は寝たまま受け身。結婚初夜でもまだセックスに慣れないので、ベッドに横になり幸人の手マン×おっぱい舐めを堪能します。感じればピクリと震えて「気持ちいいですか?」と聞かれても頷くだけ。

 そんな彼女に「じゃあたくさんしますね」と言ったり、彼はタイトルどおり溺愛するのです。「幸人さんにも気持ちよくなって欲しいです」と言われても「まず志穂さんが先です」とクンニに移行する。男性向けであればフェラや挿入になる展開も、“女性を気持ちよくさせるのが優先事項”だと徹底的に甘やかしてくれるのがTLの王子様たち。

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『年上社長は天然溺愛モンスター~交際0日、処女を摘まれた朝にプロポーズ!?~』より
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『年上社長は天然溺愛モンスター~交際0日、処女を摘まれた朝にプロポーズ!?~』より

 彼女を見つめながら幸人は「もっと感じさせてあげたい」、「このかわいい人を幸せにしてあげたい」と、志穂を肉体的に満たしていく。いずれ精神的にも、傷ついて育った彼女の人生を癒していくんだろうなと予感させてくれます。

 ぶっちゃけ私個人はクンニも手マンも全然好きじゃないのだけど、どちらもTLコミックにおける必須要素。気持ちいい云々でなく、男性がリアルにおけるセックスみたいに「フェラしてよ」と女子にしゃぶらせるだけじゃなく、ちゃんと女性を喜ばせるために前戯をしてくれるというシーンが大切なんです。

 プレイ中も「キレイですよ」「それにかわいい」など女子が濡れる声掛けも忘れない。「やばい」だの「エロい」だの性の対象としか見ていないような形容詞より、ずっと確実にポジティブに受け止められます。

褒めるなら、かわいい>エロい

前戯は、クンニ>フェラ

 連載第1回のTLコミックから学習すべきは、まずこの2点でしょう。35歳で大きなグループ会社の社長になってて、ハタチそこらの女子との合コンに数合わせで参加して持ち帰って即日入籍するとかを目指すんじゃなくてね。それは、修学旅行先がヌーディストビーチになるようなもんです。

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(文=澁谷果歩)

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