――いまやるべきことはネット配信になりますか?
大坪:もっと早くからやるべきだったと後悔しているところはあります。やっぱりネットです。新型コロナが落ち着いたら、その後、ライブをやりながらもネット配信もできます。二重に稼げるという意味で考えれば、いまネット配信をやっていることはいいことなのでしょう。
――ネット配信はギャラや維持費をペイできる可能性はありますか?
大坪:トークイベントに関しては、みんな無料でツイキャスをやっているから、違う企画を立てないと難しいです。でも、やらないといけないのでやりますが。会場でのトークライブだと話せばなんとかなるんですが、ネット配信だといつもよりも構成を考えます。ネット配信は隙間が開くので。
――試行錯誤を重ねている感じですね。
大坪:逆に東京でしかできなかったことが全国区でできます。某イベント会場は声優さんのネット配信をやっていますが、アニメは全国区なので、都内の会場でやるだけよりもネット配信の方が盛り上がるようです。会場だと100~150人くらいの集客ですが、ネット配信は500人くらい見るんです。だから、ジャンルによってはネット配信が強くてプラスになります。
――メジャーなジャンルほど強いんですか?
大坪:全国区ですから。そういう意味ではAV女優は全国区なので強みはあります。
――ネットはニッチなところもあって、知らない子が一夜にしてスターになる可能性を秘めていたんですが…。
大坪:現状だと全国区の子が強いです。でも、そうかと思えばニッチな強さもあります。最近のネット配信ではNECRONOMIDOL(ネクロノマイドル)というアイドルグループがあって、ブラックメタルのおどろおどろしい感じでヨーロッパツアーにも行っているアイドルなんです。
その配信を手伝ったらドイツやベルギーやルクセンブルグの人たちが見ていて、ネットでないと絶対にできないと思いました。海外レベルまで行くとニッチも強いんです。海外で種をまいていくと、こういう時に上手くいきます。
――ネット配信の現象としては面白いですね。
大坪:いままでやってきたことが出るってことはあります。
――そうなると、いま急にネット配信に対応してもペイできるまでには難しいですか?
大坪:極端な話、アイドルグループがいまからネットだけでデビューしても、余程トリッキーなことをやらないと誰も見ないし気づかないです。ネットでの知名度は限界があります。特にいきなり有料でやろうと思っても難しいです。
アイドルだったら東京の地味なところから成り上がって、地道に作っていかないとならないから厳しいと思います。まだ、AV女優の方がやり方次第ですけど、週刊誌のグラビアに載り、そこから話題が芸能人とかに広がる可能性はあります。
――まだ収束は見えないですが、生のイベントは今後、どういう形になると思いますか?
大坪:それはいつか収束するという前提ですか?
――前提です。
大坪:収束したら復活していきたいですけど、会場の席数を半分くらいにすることから始めるかもしれません。
――そうなると出演者、主催者のギャラも減りますね。
大坪:生で来る客のチケット代を倍にするとか、プラス、ネット配信で収益を確保し、以前と同じくらいにするなど方法はあります。いまネット配信を頑張っているのが活きればいいかなと思います。極論ですが、会場はチケットが1万円で10人、あとの人は1,000円でネットを見るとかになる可能性はあります。
あくまで可能性の話ですが。いまの状況が少し緩くなって大丈夫なら、そのくらいからやっていく感じになるのではないですか。いきなり前と同じようなことはお客さんも嫌がると思いますし。
――そうなると、満席、満員まではそうとう時間がかかりますね。
大坪:6、7月にある程度、収束が見えたとしても年内はいままで通りにはならないです。
――ライブハウスはそうとう潰れますね。
大坪:4月に入ってからばたばた潰れています。4月29日に渋谷の人気ライブハウス3軒が閉店を発表してファンも驚いています。ゴールデンウィークがダメになったことが影響しています。
――稼ぎ時ですからね。
大坪:いままでならゴールデンウィークがいちばん書き入れ時だったんです。特にアイドル系イベントは2月、3月は卒業ライブが多いんです。年末に卒業を発表して、2月、3月に卒業ライブをやって、4月から社会人みたいな子が多いんです。でも、卒業ライブが中止になって卒業ができない。なかには卒業ライブもなく辞める子も多かったのです。ハロー!プロジェクトのこぶしファクトリーは無観客ライブをやりましたし。
――卒業ライブというカルチャーも新型コロナが壊したんですね。
大坪:そうです。しかも、最後は儲ける機会でもあるので、お金的にもプラスにならないんです。