――新型コロナ禍でAV女優になる子も少なくなりますか？
淫語魔：不況で応募は増えるかもしれませんが、AV女優になりたくても仕事がないって状況になります。自分は女装AVも撮っていますが、女装子の応募は増えています。
――どうしてですか？
淫語魔：一概には言えないですが、お金に困っている人が結構いるみたいです。
――一般の仕事の方ですか？
淫語魔：そうです。この間は「お店をやっていたんですが畳んで、女装の仕事をやってみたいんです」という男性が来ていました。40、50歳の方からの応募が増えているように思います。
――東日本大震災の時にも被災した女性がAV女優を志願するなんて書籍もありました。
淫語魔：ありました。
――新型コロナ禍はそうなる可能性はないですか？
淫語魔：どうでしょうね。女装子の応募しか分からないですが、女性よりも男性の方が今回は大変かもしれないです。
――AVが売れないと男優も大変ですか？
淫語魔：大変です。一流男優は大丈夫だと思いますが、汁男優からピンに成り立てぐらいの人は仕事がなくて必死だと思います。
――汁男優で思い出しましたが、今後、集団で絡む作品はどうなりますか？
淫語魔：集団作品がまずお金がかかるんです。昔ならぶっかけモノで汁男優を20人、30人呼べたんですが、いまは性病検査代がかさんでいて、10人出すだけでも多額のギャラと制作費がかかります。当然、人数が多ければ感染リスクも高まります。ますますハードルが上がります。
逆に少人数の現場だったら感染リスクは減るので、しばらくはいかにミニマムな現場を作るかって話になってくるかも知れません。
――そうなると女優、男優、カメラマンだけというパターンもありますか？
淫語魔：あり得ます。どんどんスタッフが使われなくなっていくかもしれないです。なるべくならメイクも入れない方がいいとか、メイクも最初だけで帰ってもらうとか。監督がカメラや照明などの何役も兼ねるとか。少人数の撮影が当たり前になっていくかもしれません。
――明るい未来が見えないですか？
淫語魔：でもエロコンテンツ自体はなくなるとは考えにくいので、新しい形のコンテンツができてくるんじゃないかと密かに期待しています。例えばアダルトVRをちゃんとしたゴーグルで見たら本当にハマります。従来のAVとは全く違ったものと考えていいと思います。
好きな女優さんが本当に目の前にいて、映像の中でキスしてくれば、本当にキスされている気分になるほどリアルです。他にもまだ主流になっていないエロコンテンツは見渡せばいくつかあるように思います。そこまでマネタイズできていないだけで、AVは形を変えて残っていくと思います。アダルトVRは未来がありそうです。
――VR撮影はスタッフが何人くらいですか？
淫語魔：多くもないけど少なくもないです。中規模のスタッフです。VRも技術的なことが進んでくればスタッフは少なくできると思います。あとはどういうふうにネットを利用していくかってところでしょう。
――今後、生き残るカギはネットでの見せ方ですか。
淫語魔：それくらいしか、いまのところないかもしれないです。明るい話を探さないといけないですね(笑)。
――そうなんです。新型コロナ禍を超えた先に何か新たな動きはないですか？
淫語魔：虫がいい話かもしれませんが、AV撮影は不特定の人間の接触じゃないので、撮り始めるのは早いんじゃないかと思っています。
――特定されているから安心感があると？
淫語魔：そうです。3密といっても他の仕事でも自粛しないで、仕事をしている人はいます。
――一般の仕事も会社に集まっていますから。
淫語魔：それにくらべると、撮影現場は出自が分かっている人としか仕事をしていないので、不特定多数の人間と仕事をしてない限り、まだ安全な可能性はあります。例えば○○という女優さんを撮っても撮影現場には知っている人しかいないので、何かあったら「この人か」って感染経路も探せます。だから撮影はできるかもしれません。
その代わり新しい人は入れないで、本当に信頼できる人としか仕事をしないことになるでしょう。知らない人とはとにかく会わないことです。元々、流出してはいけないものを扱っているので、そういう意味では内輪な社会です。その中で完結するなら撮影も再開していいのかなと思います。ただ、新型コロナウィルスは未曾有の事態であるので、そういう希望的観測もいいけど、本当のところは何とも言えないです。
どこかのメーカーさんの撮影現場で新型コロナに罹った人が出たってことになれば、自粛どうこうでは済まされなくなることもあり得ますから、いまはそれがいちばん怖いです。
（インタビュー＝神楽坂文人／公式Twitterはコチラ）
【緊急インタビュー連載】アフターコロナ：アダルト業界の未来の第二弾は明日公開！ 明日はアダルトショップ・ワイルドワン＆VIBEBARの広報・Yukaさんが登場します！ お楽しみに！
年齢認証