【緊急インタビュー連載】アフターコロナ:アダルト業界の未来#1 AVプロデューサー・淫語魔編

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淫語魔氏は撮影で自ら緊縛もするという

 

淫語魔:プロダクションも女優面接を4月は一切しないと言い切っているところもあります。プロダクションによっても面接に動いているところもあれば、女優さんと一緒に自粛しているところもあります。そこが意志統一できてないから、包括団体なのか大手メーカーなのか分かりませんが、大きなところがガイドラインを出せば足並みが一気に揃えられるのですが、音頭を取る人がいないんです。あと、気になるのがIPPAなどの審査を受けているのは適正AV扱いですが、適正AVじゃない撮影もあるんです。

――それはどういうジャンルですか?

淫語魔:自主制作のAVです。

――どこで見られるんですか?

淫語魔:FC2動画とかでやっています。審査が通ってない作品は、例えモザイクがかかっていたとしても、AV業界としては「AV」と認められないんですけど、世間的にはそういう作品も「AV」と見られてしまいます。そういうところとはあまり横の繋がりがないので撮影しても分からないだろうなあって思います。そこらへんは無法地帯だから、ホテル撮りとかしていても分からないです。そういうところも網にかけて、足並みは揃えた方がいいです。

――新型コロナ禍の影響を受けても強いAVのジャンルはありますか?

淫語魔:今後は企画色の強いコンテンツが生き残るのかなと思います。具体的に言えばVR作品か素人作品、それと高価格帯のマニアック作品あたりです。単体女優作品もよほどの女優じゃないと売れなくなってきてますし、そうなると単体はVRか大手配信メーカーしか残らないかもしれません。

――全体的に落ち込んでいるところに新型コロナ禍が追い打ちをかけた感じですか?

淫語魔:そうです。市場が小さくなっていますから。

――撮影のあり方と販売方法はどう変わりますか?

淫語魔:撮り方自体、変わることはまずないと思います。販売はいまネットだと新作と旧作が同じサイト内にあるじゃないですか。そうなると、もし旧作のクオリティが高くて、新作が低ければ新作を買わなくなります。AVファンでも昔の女優を話題に上げてくる人がいて、「それはいつ頃、見たんですか?」と聞いたら、「最近ネットで見た」と言うんです。そうなると過去の作品との戦いになります。

――それは新型コロナ禍を受けて余裕がなくなるということですか?

淫語魔:新型コロナ禍はAVのとどめを刺しているように思えるだけで、実は予算面ではAVの作品力も低下してきています。昔に比べて予算がかけられなくなってきた分、衣装がショボくなっていたり、撮影も2日撮りが1日撮りになっていたり、しかも本編以外に別コンテンツも撮るとか、特典用のチェキを撮るかとか、ギュウギュウに詰め込んでいたりしています。

 そういう状況の中、新型コロナが来て拍車がかかったっという話だと思うんです。AVは従来のビジネスモデルが経年劣化して通用しなくなってきている。 メーカーもプロダクションもまさに新しいビジネスモデルを探している最中で、ちょうど端境期にさしかかっていると思うんです。その寿命を新型コロナ禍が早めた話なのかな。

――新たな売り方はありますか?

淫語魔:VR作品はまだ売れると思います。VRは違法ダウンロードも見かけないですし、そのせいかVRゴーグルを持っている人が少ない割に売り上げはいいです。でも、VRはハイリスクな側面がありまして、売れているメーカーと売れてないメーカーの差が激しいです。失敗しているメーカーは大きく赤字を抱えてしまうようです。

――それはどういう仕組みですか?

淫語魔:製造費が通常よりもかなりかかります。たとえばモザイク処理が普通のAVの2倍かかっていたり、編集も手間がかかるんです。

――機材も高いですからね。

淫語魔:そういう意味でペイラインが高いので、かなりの売り上げがないとダメなんです。しかし、普通のDVDよりもハネる可能性は十分あります。

――怖い世界ですね。

淫語魔:夢もあるけどハイリスクハイリターン。

――いい話があまりないです(笑)。

淫語魔:メーカーはコンテンツ配信があるので、まだしばらくお金は入ってきます。新型コロナ禍ですぐに変わらざるを得ないのは女優さんや現場スタッフでしょう。撮影現場数が減る可能性があるので。

――そうなるとスキルがある人が残りますか?

淫語魔:過当競争になっていくのかな。影響をもろに受ける人たちがどう動くかでビジネススタイルも変わらざるを得ないです。

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