「いいの?」
ホテルの前でもう一度聞く。
「うん」
とハルカは小さく頷いた。
部屋に入ると、ハルカは「へぇ、いまどきのラブホテルってこんな感じなんだぁ」と好奇心いっぱいにあちこちの扉を開けて歩いた。妙に陽気なのは、夫以外の男性とこれから起きることへの、緊張の裏返しなのかもしれない。
ソファに並んで座り、コンビニで買ってきた飲み物を開けてコップに注ぐ。
「あのね、たけしさん…」
ハルカが話しにくそうに口を開く。
「今、夫は福岡に単身赴任中なの」
「そうなんだ。それでこの前、福岡に行ってたんだね」
「うん、でもなんかもうダメみたい」
「ダメって?」
「単身赴任して、もう10年近いんだけど、結婚して数年で遠距離になっちゃったからなのかなあ、なんかうまくいかないの」
「そうなの? せっかく会いに行ったのに」
「うん。でも一緒にいても子供のことでケンカになっちゃうし、夜もあたしに触ってこないし」
「久しぶりに会ったのに?」
「そうなの…。あたしはエッチしようって思っていたのに、夫は全然その気にならなくて。男の人ってそうなのかなあ…」
「そんなことないと思うよ。ハルカさんみたいに色っぽい素敵な女性に甘えられたら、私だったらすぐに押し倒しちゃうけどね」
ちょっと表情が暗くなったハルカを励まそうとふざけてみたが、そんな気分ではなかったようだ。
「あたし、そんなに魅力ないのかなあ…子供も二人いるし、女性としてもう見てもらえないのかなあ」
「なに言ってるの。ハルカさんみたいにきれいで素敵な奥さんがいたら毎晩だってエッチしたいし、いつだって触れ合っていたいけどなぁ」
「ありがとう。そんなこと言ってくれるの、たけしさんだけだよ」
「こんなに素敵な女性は見たことないよ」
「それは言い過ぎ」
私はハルカのあごを指で支え、少し上を向かせる。
軽くキスをすると、ハルカは目をつぶった。
「きれいだよ」
ハルカはなにも言わずに、唇を私に重ね合わせ、少し口を開いた。
軽く抱きしめながら、口を開かせてキスをする。
「ハァン」
ハルカの色っぽい声に欲情し、私は口を吸った。ソファに座ったまま、ハルカは私に抱きつき、身体をすり寄せて、見上げてきた。
「たけしさん…」
「なあに?」
「エッチしたい…」
潤んだ瞳にほてった表情のハルカに言われて、私の肉棒はズボンの中で屹立し、早く飛び出したがっていた。
「シャワーを浴びる?」
「うん」
一緒は恥ずかしい、というので、別々にシャワーを浴びた。
最初にハルカがシャワーを浴びて、バスタオルを身体に巻き、戻ってきた。長身でほっそりした身体つきで、とても二人の子供のいるお母さんには思えない。夫がどうして彼女を抱きたがらないのか、私には理解できなかった。
私もシャワーを浴び、洗面台で歯を磨くと、ハルカがバスタオルを巻いたまま近づいてきた。