告白の前、私たちは一緒にお風呂に入ります。そこで私は、未来の話を始めるんです。
「私もこっちに戻ってこようかな」
「ボートまた一緒に乗りたいね」
「子供欲しいタイプ?」
幸せなデートをして、一緒にお風呂に入る。もうこの先の人生は彼と楽しく生きていくという気持ちで、私は有頂天になっています。
ここで突如、彼のインタビューシーンが挟まれます。
真咲さん「朱里さんのことどうですか?」
向くん「デートも楽しくて、好きですね」
真咲さん「でも彼女いますよね? 二股じゃないですか」
そう、彼には彼女がいたのです。そして私はそれを知らぬまま、未来のことを話している。幸せな混浴シーンの中にこのインタビューが入ることによって、残酷さがよりあらわになっていきます。
そして、告白のシーン。告白すると、彼女がいると告げられ、私は大泣きします。
私は役に入り込んでいたので、マジ泣きしました。「なに今日の1日は?」と言っているんですが、それも本気で思った言葉です。ガチの修羅場状態なので、現場もすごい空気になりました。
この作品の意図は、2人の価値観が噛み合わないところにあります。私は彼のことが好き、でも1人に愛されたい。彼は彼女と私の2人とも好き、そして2人とも大切という価値観を持っています。
お互いに好き。だけど私たちは違う。本当に好きだけど、交わらない2人。
私は「それでも良いから」と彼を求めません。そして彼も、2人とも大切なので、価値観を変えません。だから悲しいけど、最後1度だけ抱き合おう。
最後のセックスシーンに台本はありませんでした。どんなテーマでセックスしようと話し合って、「彼の本音を引き出すようなセックスにしたい」と決めました。そしてすぐに本番。私は頭を空っぽにして、さっきのフラれてしまった自分だけにします。そして、1時間のセックスシーンが始まるのです。
「本当に最後だよ? 良いの?」
私は彼にムカついていました。その思いをセックス中に彼にぶつけます。彼は嫌だといいながら腰を振るのです。