和歌山:未だ生き残る奇跡の街「天王新地」 ~ニッポンの裏風俗~ 

 

「和歌山県は風俗に対して厳しいのではないか?」


 そう思って調べてみると、和歌山県には明治後期になるまで遊郭がなく、やっと開設された新宮と大島の二箇所の遊郭も、鼓楼は合わせて20軒足らずしかなかったとされる(「全国遊郭案内」より)。

 ところが、そんなアンチ風が吹き荒れる和歌山県には、平成の時代を超えた今もなお、ほそぼそと残る新地が存在している。それが「天王新地」である。しかし、二箇所あった遊郭とは地域が全く違うので、飛田新地や松島新地などのように、遊郭→赤線→新地(ちょんの間)という流れではないことがわかる。

 だとすると、横浜の黄金町のちょんの間のように、戦後のバラックから出来上がったちょんの間街なのかとググってみると、それより前、どうやら昭和初期には私娼街(非公認の売春地帯)として、同じ場所に存在していたらしいことがわかった。

 生まれながらの違法風俗街が、アンチ風俗の県で90年近くを経ても未だに残っているとは、もはや”奇跡”と言っていいのではなかろうか。そんな奇跡の新地があるのは、和歌山駅の隣にある紀和駅と紀伊中ノ島駅の間。迷路のように曲がりくねった住宅街の路地に、古びた木造家屋が並ぶ一角がある。夜になると3軒だけ、その看板に明かりが灯る。

 

和歌山:未だ生き残る奇跡の街「天王新地」 ~ニッポンの裏風俗~ の画像5
現在は建て直されているが、趣あるいにしえの駅舎には哀愁さえ感じてしまう

 

 筆者は天王新地には数回訪れたことがあるが、実はまだ上がったことがない。取材当時40代だった筆者にとって、天王新地はまだまだ敷居が高い…つまり、熟女の巣窟だったのだ。

 

和歌山:未だ生き残る奇跡の街「天王新地」 ~ニッポンの裏風俗~ の画像6
国道側の入り口は二箇所あった。今では看板の文字も半分以上なくなってしまっている
和歌山:未だ生き残る奇跡の街「天王新地」 ~ニッポンの裏風俗~ の画像7
くだり坂の狭い路地を入ると、赤い灯の入った看板が…

 

 筆者が訪れた時、女性の顔が見れたのは1軒だけ。路地に面した窓から店内が見え、そこに座っている数人の女性の中から好みの女性を選んで上がるシステムだ。熟女だらけの新地で顔見せがあるのは、”親切”としか言いようがない。だが、そのせいで上がるのをヤメたご同輩も少なくないと察する。

 筆者もその口で、「これなら向之芝の本サロ潜入記のほうが読者も喜ぶだろう」と、さっさと取材の矛先を本サロへと変えてしまったのだった。

 しかし、齢60が近づいた今、その熟女たちも多分、同級生か下級生になっているはず(笑)。口コミなどの情報を探ってみると、「そんな感じならイケるかな?」と余裕さえ感じてしまうのだ。デリヘルは変わりばえしないし、本サロも無くなった今なら、和歌山に用事さえあれば上がれる気がするのだが…。

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