隔たりセックスコラム「おっぱいの魔力が身に染みた話」
隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにて連載コラム「セックス物語」を寄稿中。「隔たり」というペンネームは敬愛するMr.Childrenのナンバーより。 |
「巨乳と貧乳、どっちが好き?」
男ならば、誰もが一度はされた経験があるであろう質問。あなたは何と答えるだろうか。
そして、
「もっと胸が大きくなりたい」
と、多くの日本人女性が悩んでいる。
そんな悩みに対して、男はどのようなスタンスでいればいいのだろうか。
男は女性の胸、つまり「おっぱい」と、どう向き合っていけばいいのだろうか。
今から語るのは、僕が「おっぱい」の魔力に狂ってしまった物語だ。そして同時に、「おっぱいって何だろう」と考えるきっかけにもなった出来事でもある。
おっぱい星人のあなたも、ちっぱいをこよなく愛するあなたも。
そして、胸に「おっぱい」がある、あなたも。
「おっぱい」に取り憑かれてしまった男の物語を、ぜひ読んでほしい。
※ ※ ※ ※
僕が初めて「おっぱい」を触ったのは、中学生のときだった。
当時、僕には彼女がいた。両親がいないときに家に呼んでは、たくさんキスをした。公園、住宅街、マンションの階段。至るところでキスをした。
キスに慣れてきたら、胸に興味を持つのは自然なことだった。
だが、緊張して触れない。勇気を出して手を伸ばしても、彼女に「恥ずかしい」と何度も拒まれてしまう。そんな繰り返しだった。
その後、僕は胸を触ることができた。
しかし、今ではそのことを鮮明に思い出すことができない。家だったか、公園だったか、住宅街だったか、場所すらもあまり覚えていない。
だが、初めて「おっぱい」を触ったとき、僕が何を思ったか、ということに関しては今でも鮮明に覚えている。
それは初めて「服の上」から、触ったときに思ったこと。
これ…ブラジャー…?
「おっぱい」とはフワフワで柔らかいもの。弾力があって、顔が埋もれてしまうもの。そこに顔を埋めれば、興奮しすぎて鼻血が出てしまうもの。
そう妄想し、期待しすぎたゆえに、ブラジャーの硬いワイヤーをマッサージしたような感触は今でも忘れられない。期待とのギャップが激しすぎて、当時の僕は「おっぱいってこんなものなのか」とがっかりしてしまった。
その日から、付き合った彼女やセックスした女性の胸をたくさん触った。
しかし、男の誰もが子供の頃に憧れたような「大きなおっぱい」に巡り合うことはなかった。
可愛く優しく膨らんだ胸を触るたびに、水が徐々に沸騰していくかの如く、僕の中に熱い気持ちが芽生えていった。
大きなおっぱいを触りたい…
大きなおっぱいを触りたい…
大きなおっぱいを触りたい…
いつしかその欲望は巨大なものとなって、彼女よりも、セックスよりも、大きな胸を求めるようになっていた。
大学生のとき、僕は狂ったようにマッチングアプリを使い、大きな胸を持っていそうな女性を探した。
おっパブや風俗で巨乳の子を指名すれば、簡単に触ることはできただろう。だが、なぜかそのアイディアは思い浮かばず、僕は必死になって女性の写真を眺めていた。
付き合った彼女、セックスをした女性、その中の誰かひとりでも巨乳だったならば、ここまで取り憑かれることはなかっただろう。
恋愛経験もセックス経験もそれなりにしてきた。けれど、出会えなかった。ならばこちらから見つけ、会いに行くしか方法はない。
当時、僕は巨乳好きというわけではなかった。それでも必死で探してしまうほど、大きな胸を触りたくて仕方がなかった。
そして、その願いは叶い、僕は大きな胸を持つ女性と会うことになった。
その女性の名は、愛佳(仮)といった。都内の看護学生で、ショートカットが印象的な女性だった。
愛佳のプロフィールには、グレーのニットを着た写真が載っていた。写真からでも分かる胸の大きな膨らみ。それだけで妄想が膨らんでしまう。
アプリのやり取りからラインに移行し、頃合いを見計らって、下ネタの話を振った。愛佳はそれにノリ良く返してくれ、そのノリが大きくなった結果、僕らはセックスすることになった。
当日、待ち合わせ場所の渋谷駅に行くと、緑のニットを着ている愛佳がいた。胸の大きさは、遠くからでも分かった。
「お待たせしました」
「…」
「愛佳さん?」
「うん」
「…それじゃあ、行こうか」
愛佳の顔は物凄い警戒心に満ち溢れていた。LINEでのノリの良さからは、全く想像できない雰囲気を身にまとっていた。早く帰りたいと、少しだけ思った。
憧れの大きな胸を前にして帰りたいと思う自分。
おそらく、僕にとって胸が1番大事なものではないということに、なんとなく気付く。だが、愛佳にかけた時間を回収したいというケチな理由で、僕は彼女とホテルに向かった。
選んだホテルは道玄坂の安めのホテル。愛佳の少し暗い表情を見て、明るくてゴージャスなホテルを選ぶことはできなかった。
「ここでいい?」
「うん」
そのホテルのプランは2h、3h、フリータイムの3パターン。いつもこのホテルを使うときは3hを選んでいたが、今回は2hにしようと受付の女性に声をかけようとした。
そのとき、ふと、右腕に柔らかいものが当たった。
「あ、ごめんなさい」
「ううん、大丈夫だよ」
それは愛佳の胸だった。自分のことばかり考えていて、彼女がどこにいるか全く見えていなかった。僕の全神経が、右腕の当たった部分に集まっていく。
気がつけば僕は、情けない声で、
「あ、フリータイムで」
と受付に伝えていた。
部屋は茶色基調の薄暗い部屋だった。誰かの廊下を歩く音が部屋の中まで聞こえてくる。安いホテルだから仕方ないとはいえ、無言を貫く愛佳といたら、その音は僕を余計にソワソワさせた。
「愛佳さん、緊張してる?」
「いえ」
愛佳は真顔で首を横に振る。これからセックスをするというにも関わらず、この空気感は異様だった。息が苦しく、部屋を飛び出したい衝動に駆られた。なぜ愛佳は僕とホテルに来たのだろう。
愛佳の険しい表情を見ると心が苦しくなるので、僕は視線を下に向けた。大きく盛り上がったニット越しの胸が目に入る。
どうしてもそれだけは、触って帰りたい。
「それじゃあ、キスするね」
「…」
「どうしたの?」
「私、彼氏いるんです」
「えっ」
「彼氏…いるんです」
愛佳には彼氏がいる。
つまり、彼氏がいるからキスはできないということか。僕はキスをするために上げた視線を、再び下に向けた。
ここにきて、彼氏がいるとカミングアウトされるとは思わなかった。
キスはダメ、では、セックスはいいのだろうか。
「それじゃあ、こっち触るね」
セックスは良いのかと気になるが、聞いて断られてしまうと辛いので、その疑問を呑み込み、大きな胸に手を伸ばした。
そして複雑な気持ちを抱えたまま、夢を叶える時が来た。
や、柔らかい。
大きく手を広げても収まらないほどの大きさ。指が深く食い込み、指と指の間から愛佳の胸の肉がはみ出している。弾力があるというよりは、変幻自在に形を変えるような、そんな柔らかい胸だった。
「そしたら、脱いでもらっていい?」
愛佳は表情を変えないまま、服を脱いで下着姿になった。僕は愛佳の表情は見ず、下着に支えられた大きな胸だけを見つめる。谷間は大きくて深かった。
ここに顔を埋めたい…
柔らかくて大きい谷間に顔を埋める。そんな男の夢を叶えれる状況を前にしたにも関わらず、僕は躊躇していた。
胸を触っても愛佳は表情を変えず、どこか遠くを見つめていた。そして下着姿の今も、どこを見ているか、何を考えているか分からない。そんな愛佳を不気味に感じ、子供のように谷間に顔を埋めるということを、僕はできなかった。
「そしたら…下着を外して、横になってもらっていい?」
愛佳が背中に手を回しブラホックを外す。胸の部分を支えながら肩ひもを下ろし、そしてゆっくりと下着を外した。丸くて茶色い乳輪、小粒で可愛らしい乳首。
もう、我慢できない。
愛佳を横に寝かせ、胸を触り、撫で、揉み、揺らし、さらに乳首を舐め、しゃぶり、吸った。僕は大きな胸の前では無力だった。何も考えず、ただ一心不乱に胸を愛撫し続けた。
ときおり愛佳の吐息が聞こえるも、それは微々たるものだった。いつもならその反応に神経を研ぎ澄ませるが、僕は愛佳の反応なんておかまいなしに、ただ大きな胸に溺れていく。
気持ち良くなってもらいたいとか、喜んでほしいとか。そういった気持ちは、大きな胸を前に、どこかへ飛んでいってしまった。
胸にしゃぶりつきながら、右手を愛佳の股に持っていく。下着の上から触れると、そこはすでにじっとりと湿っていた。
下着の中に手を滑り込ませて、中指で割れ目をなぞる。ひっかくように指を動かし、全体を濡らす。僕の下半身は触れられてもいないのに、もうすでに大きくなっていた。
相手の反応が悪くても、そこに女性の体があるだけで、下半身が濡れていることを知るだけで、興奮してしまう。自分の体の反応が素直すぎて笑いたくなるが、2人でいるのに1人だけ興奮しているという状況は、少し息苦しかった。
だから愛佳に気持ち良くなってもらいたいと、クリトリスを優しく触る。声には出さないが、彼女のお腹が膨らんだり萎んだりし始めた。
このまま触れば、ちゃんと気持ち良くなってもらえるだろうか。
そう思っていても、僕は再び胸にしゃぶりついてしまう。
愛佳の横に寝そべり、右手でクリトリスを撫でながら、僕はただひたすらに彼女の右胸をしゃぶる。口に含んでは出し、舐め、また吸っては出し、舐める。それを何度繰り返しただろうか。
右胸から口を離して左胸をしゃぶろうとすると、先ほどまで吸いついていた右胸が目に入った。少し、光っている。僕の唾液だ。
無抵抗な愛佳の胸を、ただ自分の欲求に身を任せてしゃぶり、唾液だけが彼女の身体に残った。神聖なものを汚してしまった、という罪悪感に襲われる。なぜ、今まで夢に見ていた大きな胸を、僕は自分の唾液まみれにしてしまったのだろうか。
不思議だな、と思う。
柔らかくて綺麗で大きな胸。男の憧れ。そんな憧れているものを、自らの手で汚した。
愛佳が感じてくれていれば「いやらしく濡れている」という認識になっただろうか。しかし愛佳からの興奮を直接に感じることができなかった。だから「汚した」という認識になってしまった。
愛佳はこの状態をどう思っているのだろう。
怖くて、彼女の表情を確認することができなかった。
「ゴムつけて、入れるね」
そう言っても、愛佳は全く言葉を発しない。挿入に関しては、少しでも同意してほしかった。
彼女の身体の反応から同意の合図を探そうとするも、身体すら全く動いていなかった。ただ、そこに横たわっているだけ。
しかし、愛佳はそこにいる。そこに居てしまうから、挿入しようと思えばできてしまう。僕はゴムを付けて、告げた。
「いれ…ます」
逃げないということは、同意をしているということなのだろうか。分からないけれど、もう我慢の限界だった。
挿入したら、喜んでもらえるはずだ。愛佳も気持ち良いと、感じてくれるだろう。そう何度も、自分に言い聞かせる。
ある種の可能性に望みをかけるようだが、それは自分への都合の良い言い訳に過ぎない。そんな言い聞かせた言葉などただの空想にすぎず、ちゃんと存在しているのは「挿入したい」という欲求、ただそれだけだった。
愛佳の反応を伺うように、ゆっくりと挿入していく。全て入りきっても、愛佳は目をつぶり、斜め上を向いていた。
僕も目をつぶろう。
本当は揺れる大きな胸を見たかった。
その揺れた胸と、同じように動いてみたかった。
しかし、愛佳を見ると、どうしても反応が気になってしまう。怖くて、何もできなくなってしまう。だから目をつぶり、下半身に意識を向けるしかなかった。
僕は目をつぶって、ゆっくりと腰を振る。感覚がいつもより研ぎ澄まされているような気がした。下半身が暖かいものに包まれているのが分かる。これを愛佳の「喜び」と、捉えてはいけないのだろうか。
しかし、それはただの生理現象にすぎないのだろう。
恋人じゃなくたって、好きじゃなくたって、気持ち良くなくたって、セックスはできてしまうのだから。
目をつぶり、腰を動かしながら、僕は両手を伸ばした。
胸を、触りたい。
こんな状況でも、その衝動から逃れることはできなかった。無愛想な愛佳の胸ですら触りたいということは、僕は「おっぱい」が大好きなのであろう。
しかし、それは大きな胸だからという理由ではないように思えた。
大きくても小さくても、柔らかくても硬くても、感度が良くても悪くても、僕は「おっぱい」が好き。僕は単純に「おっぱい」というものが好きなんだ。
悩んでいたことが、急に腑に落ちた。
大きな胸を前にして、ずっと自分が壊れたような感覚だった。自分の中に狂気的な性欲が存在しているような気がして、ずっと怖かった。
でもそれは「好き」という気持ちが暴走していただけにすぎなかったのだ。
好きが強すぎるがゆえに我を見失い、振り返ったときに「何であんなことしていたんだろう」と思ってしまうような、まるで恋愛の片想いのような、それと同じなんだと気付いた。
ならばもう、「好き」という気持ちを暴走させなければいい。
安定したカップルのような、いつまでも仲の良い夫婦のような、そんな風に「おっぱい」と向き合えばいいのだ。そうなるためには、自分の欲求ばかり押し付けるだけではなく、「おっぱい」の気持ちをちゃんと考えることが大切であろう。
もし、僕が「おっぱい」ならば。
乱暴に揉んで欲しくない。
激しく揉んで欲しくない。
優しく、丁寧に、触ってほしい。
僕は目を開けて、愛佳の大きな胸を見た。好きならば、目を開けてちゃんと見ていたい。手を伸ばして、優しく触る。さっき触った胸とは、違う感触がした。
揺れる胸に両手を添えながら、この瞬間を味わうようにゆっくりと、前後に、大きく腰を振る。
「あっ、あん」
愛佳の口から甘い吐息が漏れた。ものすごく嬉しかった。この声を、ずっと聞きたかった。
身体を曲げて、目をつぶっている愛佳の顔に近づいていく。ものすごく、ドキドキする。これはもう恐れではない。セックスでしか味わえない、胸の鼓動だ。
愛佳の唇に、僕の唇を重ねた。
そのまま、少しザラザラしているけど柔らかくて暖かくて優しいものを、互いに差し出しあった。
そしてキスをしながら、僕は愛佳の胸の柔らかさを、自分の胸にほんのり感じたまま、果てたのだった。
セックスを終え、服に着替えて、愛佳と一緒にホテルを出た。時間はまだたっぷり残っていたけど、互いにもう一緒にいる理由はなかった。
「今日はありがとう」
僕は大きな胸を触りたくて愛佳と会った。
とても失礼な理由だが、それでも、僕は愛佳に出会えて良かった。
愛佳は、どうだったのだろう。ずっと無愛想だったから、彼女が考えていたことは何ひとつ分からない。
そういえば、愛佳がハッキリと口にした唯一の言葉は「彼氏がいる」だけだった。もしかしたら彼女は、少しでもそんな自分を守っていたのかもしれない。セックスはしたいけど、彼女なりのルールで、彼氏がいるという自分を守っていたのかもしれない。
そのルールが正しいのかどうかは、僕が考えることではない。愛佳の中で正しいか正しくないかを決めればいい。
僕が「おっぱい」について考えていたのと同様に、愛佳自身も何かを考えていたのだろう。そんなふたりが、セックスをした。今あるのは、その事実だけでいい。
「こちらこそ、ありがとうございました」
「うん、それじゃあ」
僕はそう言って愛佳に背を向け、駅へと向かった。最後に愛佳の口から「ありがとう」を聞くことができて、とても嬉しかった。
僕は「おっぱい」が大好きだ。それはこれからも変わらないだろう。
だから、そんな大好きなものに大好きと思ってもらえるように、心を込めて向き合っていきたい。
それは誰のとか、大きさとか、形とか、触り心地とかは、全く関係ない。
僕の目の前にあらわれた、すべての「おっぱい」と、ちゃんと向き合いたい。
この世に「おっぱい」があってよかった。
女性の胸に「おっぱい」があってよかった。
心から、そう思う。
(文=隔たり)