渡鹿野島は、現在どうなっているのか?
その放送から1週間後、渡鹿野島の売春産業を書いた「売春島」の文庫版出版に伴うトークショーがあり、高木氏本人が出演されるというので拝聴してきた。
筆者が初めて渡鹿野島に行ったのは、2002年のこと。放送でジャニーズのメンバーも入った露天風呂のあるホテルには、家族連れや女性だけのグループ客もいて賑やかだった。しかしその反面、夜になると暗い路地は寝静まり、それでも喫茶店内では女のコが選べたり、おばちゃんについて行くとアパートから女の子が出て来て、路上で選べたりという遊びができた時代だった。
しかし、それもすでに昔のこと。高木氏によると、文庫化に伴った追加取材でわかったことは、現在島に残っている置屋は1軒で、派遣型がもう1軒あるだけ。女の子も島にいるのはタイ人が1人で、他は客次第で島外から渡し舟に乗ってやってくるという。もはや「産業」とは呼べない状況だ。
しかし、ピンクコンパニオン遊びができるホテルは2、3軒あるので、その後の個別オプションがあるのではないかと思ったが、高木氏によると「無くなっていると思う」とのことだった。
邪推ではあるが、ピンクコンパニオン遊び目的で島に来る客が、遊ばずに帰れるのかというと疑問が残る。そんな客を売春島の番人たちが黙って見逃すはずはない、そう思うのだが…。
番組では、MCの他にも人気のジャニーズメンバーが出演したおかげで、ファンの間では「聖地」のひとつとなり、海を渡ってイルミネーションを見にくる観光客が増えているようだ。
それは何よりだが、イルミネーションでは金は落ちない。事実、「女の子を集めることができればまた…」という島側からの声もあるようで、果たして島の復興は進むのか戻るのか、見守っていきたい。
〈写真、文=松本雷太〉