その夜も、ひとりの婆さんに声をかけられた。
「兄ちゃん、遊び? 若い子いてますよ」
おばちゃんの中では上品な感じで好感が持てたので、確かイチゴー程度で交渉成立。案内してくれたのが小さな旅館だった。
旅館のおばちゃんが直々に店前で呼び込みをする吉原スタイルとは違い、福原は、ポン引きおばちゃんがヤリ部屋として旅館を斡旋するスタイルだった。
10分ほどで現れた女の子は、小柄でかわいい感じの30代と思しき人妻系。こちらの下半身の準備が整い次第、合体。30分程度で全て完了させて部屋を出て行くというヤリ手ビジネスマン風か、もしくはちょんの間スタイルだった。
当時(2007年頃)、福原には本ヘルもあった。「G」という店で、狭い敷地にある縦長のビルをそっくり使っていた。当然、プレイルームも非常に狭いのがだ、筆者に着いたのは超おデブちゃん。ソップ型の筆者とのプレイならぬ”取り組み”は、きっと誰の興味もそそらないものだったに違いない。
そして現在、まだまだ福原にはポン引きおばちゃんたちが元気に出没するようで、中には直引きおばちゃんもいるという。さすがに本ヘルはなくなってしまったようだが…。
東京の裏風俗は、2020年を待たずしてほぼデリバリーに移行。店舗型があるとしても、ごく小規模なものしか残っていない。まだ大きなちょんの間やポン引きなどの裏風俗が残る関西地方は、東京住まいの風俗ファンにとって羨ましくも思える反面、怖くもある。2025年の大阪万博が過ぎても、相変わらずのスタイルで遊べる街が残ることを切に祈る。
〈写真、文=松本雷太〉