もうこの泥沼からは抜け出せない…レズビアンの狂気を描いた『ネコとタチ』

　1カ月後。

　みほはなつこの部屋に行き、借りたお金を返済する。そのとき、みほはなつこの部屋が甘い匂いを漂わせていることに気づく。

「今日、あいちゃんの誕生日だから」

　なつこが言う。「あいちゃん」とは、1カ月前に入居してきた女の子だ。

 

 

　あいは引っ越してきた後、新しい生活に慣れずに体調を崩した。そんな彼女のことをなつこは優しく看病した。そうして距離を縮めたふたりは、あいの誕生日をなつこの部屋で祝うことにしたのだった。

 

 

　実はみほと同じように、あいもお金に困っている。それをなつこは知っていた。

　なつこの部屋を出た後、みほはあいにばったり会った。

「誕生日なのね」

　みほの言葉にあいは、「ありがとうございます」と嬉しそうな笑顔を返す。そんなあいに向かってみほは、

「今日は…がんばってね」

　と告げるのだった――。

 

■FAプロ『ネコとタチ　レズビアン地獄道』