そんな話をしてまた小一時間。そろそろホテルに戻ろうとチェックをお願いすると、
「早くから飲んでらっしゃるみたいですが、ご飯もう食べられましたか?」
由里子さんが聞いてくる。バタバタして気分転換に先に飲んでいたことを伝えたら、
「よかったらご一緒にご飯いきませんか? ご案内しますよ」
と誘われた。マスターにも背中を押されたので、
「では、お言葉に甘えて」
とふたりで食事することになった。
「こんな温泉街だと、ウイスキーを飲んで話せる相手がいないので楽しかった」
という由里子さんと小料理屋へ。そこで地元の美味しい料理を食べ、 すっかりお腹も満たされた。ここではオススメの地酒をいただき、ほろ酔い気分。由里子さんもほんのりと頬が赤く染めていた。
ここでも小一時間を過ごし、そろそろホテルに戻ろうかと思っていると、
「送りますよ」
と由里子さんが言った。正直、道がわからないのでお願いすることにした。
ホテルへの帰り道、ふと由里子さんが、
「この上に神社があるんですよ。酔い覚ましに寄っていきませんか?」
と言ってきた。なんだかこのまま別れるのは惜しい気がしたので、神社に行くことに。
神社は薄暗く、長い階段があり、ひと気はない。由里子さん曰く、この温泉街の守り神が祀られているとのこと。階段を登りきり、境内にたどり着く。少し小高い場所で温泉街のネオンがとてもキレイだった。
夜景に見とれていたら、なにやら柔らかいものが腕に…。
由里子さんが抱きついてきていたのだ。
「お話していてとっても気が楽になったんです…。今日、とっても嫌なことがあって、途中で仕事を抜け出して来たんです…」
由里子さんの目にうっすらと涙が。そっと肩を抱き寄せ、唇を重ねる。舌と舌が絡み合う。
すると由里子さんが手を引いてくる。境内の影へと向かい、再び口づけ。ふっと口が離れたときに耳元で…、