TENGAにたどり着くまで ~男性用オナニーグッズの歴史~

70年代自販機本の広告「しびれキンチャク」など

 

 とにかく、70年代から80年代にかけての男性用オナニーグッズは、マトモなものはひとつもない、代金に見合うものなど皆無、ことごとくボッタクリ商品ばかりで、高いカネを払ってゲテモノをつかまされた男たちの無念は推して知るべし。「カネ返せ」という絶叫が何度も闇夜に響いたであろうことは、間違いなかろう。

 しかし、90年代に入ると状況を一変させる商品が登場する。商品名は「OX」(オックス)。プラスチック製のカップに切れ込みを入れたスポンジが詰め込んであるだけの、実にシンプルな商品で、添付のローションとともに使用する使い捨てタイプだった。価格は1個500円から600円程度。レンタルビデオ店のAVコーナーなどに積み上げられていた。

 ところがこのOX、単純な構造にもかかわらず非常に優れた性能を発揮した。カップに押し込まれたスポンジは適度の圧迫感を出し、切り込みと材質のざらつきは絶妙の感触を生み出した。それによって、安価な使い捨てグッズながら「極めて優秀な」使用感のある製品だった。なかには「本物よりも気持ちいい」という意見まであったほどである。アダルトグッズにしてはシンプルな外見をしていて、後の「TENGA」の先駆とも言えるかもしれない。

 この直後には同種のカップ入りスポンジタイプがいくつか発売されたが、スポンジの切り込みなどがいい加減なものが多く、OXに及ぶものはなかった。

 さらにその後、シリコンなどの高分子材料を使用した製品が登場する。その伸縮性や感触などの性能と、1000円以下の製品でも十分な性能を発揮する手ごろさによって、男性用オナグッズの主流となり、現在に至る。2007年にはヒット商品「TENGA」も登場する。

 現在、シリコン等を用いた同種製品は、神保町や秋葉原などのアダルト関連ショップや、ネット通販などで簡単に購入が可能だ。そのバリエーションは非常に多く、300円程度のものから3万円以上する高額商品もある。

 筆者の私見だが、300円前後の安価な製品でも、性能的には優れたものがほとんどだ。ただし、耐久性の乏しいので、基本的に使い捨てと考えたほうがいいだろう。また、取扱説明書などは添付されていないことが多いので、注意が必要である。とはいえ、どのように使用するかは、現物を見ればすぐ理解できるとは思うが。

(橋本玉泉)

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