神保町のアダルト的変遷とその現状

※イメージ画像:Getty Imagesより


神保町のアダルト的変遷とその現状


 東京の神田神保町(文京区)といえば、昔から古本の街として知られている。神田古書店街と呼ばれることが多いが、JR神田駅からはかなり離れており、最寄駅は地下鉄・都営新宿線の神保町駅。JRなら総武線の水道橋駅が近い。

 140軒以上の古書店が集まる、日本最大の規模であるが、ほかにも三省堂や書泉グランデなどの大型書店、小学館や岩波書店、集英社などの大手出版社、さらに各種専門書店や専門出版社などが数多く集結している。まさにわが国の出版における一大拠点といえよう。

 その神保町は、アダルト系の出版物、アイテムに関しても、たいへん重要な役割を担っているのである。

 神保町の古書店および書店間の特徴は、専門性の高い店舗が多いという点である。数ある書店の中には、アダルト系に特化した店がいくつも営業している。そうした高度な専門性をもつ書店では、希少あるいはマニアックな刊行物が入手できるケースが少なくない。

 さて、アダルト系という点で神保町が世間から注目されたのは、昭和55年(1980)の芳賀書店の新展開であろう。

 芳賀書店は古書販売と並行して新左翼系や映画、カルチャー系などの書籍を出版する事業を展開していたが、この年にいわゆるビニール本をメインとしたアダルト関連の書店へと大幅にリニューアルした。

 ビニール封入で販売される成人向け写真集は、すでに昭和40年代には登場していた。最初は海外の雑誌や写真集で、アダルト専門店や古書店の奥に設けられた成人コーナーなどに並んでいた。販売価格は1冊2500円から3000円くらい。ビニール封入の上に高額という思わせぶりな代物だったが、外国雑誌のグラビアは大きくマジックで塗りつぶされ、内容は自販機本と大して変わりのないものだった。

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