その晩、おばちゃんが立っていたあたりから熱海銀座付近を散歩してみた。例のラーメン屋は居酒屋に変わっていたが、2階の部屋の明かりはその夜もついていなかった。
もちろん、おばちゃんもそこにはいない。鍋屋がなくなり、名物おばちゃんもいなくなった。熱海の裏風俗は終わったのかと思ったが…。
熱海銀座まで歩いてきたとき、そこにはポン引きらしきオヤジが、やっと獲物を見つけたような目で筆者を追っているのだった。
案内されたのは、おばちゃんの時と同じマンション。どうやら熱海の裏風俗は、ひっそりと、そしてたくましく生き続けているようだ。
〈写真、文=松本雷太〉