夏が去り9月も半ばになると、エロ本界隈では、そろそろ温泉風俗の記事が始まる時季である。
ということで、「温泉風俗」を紹介したい。関東の温泉好きに人気の温泉スポットといえば、「伊豆」である。言わずと知れた静岡県の東端にある、「熱海」や「下田」がある半島だ。
大きな半島なので、山あり川あり海あり、もちろん風俗もありで、かつては今よりもっと楽しい温泉旅行ができた温泉半島だった。
昭和後期、バブル崩壊でリゾート産業は大きな被害を受けたが、熱海もそのひとつ。リゾートマンションは価値が暴落、海沿いの高級ホテルも経営難で倒産し、ビーチ沿いの一等地で長らく無残な姿を晒していた。
だが「熱海」と聞くと、筆者の頭に否応なしに蘇ることがある。それは、「鍋屋」と呼ばれる熱海独特の裏風俗のこと。外観は普通の店や民家で、深夜になると一発屋になるという、裏風俗の中でももっとも興味を引く類の店である。
そんな噂を耳にしたのを思い出して、筆者が調査に行ったのはフリーに転身した直後の平成13年頃だった。
熱海の駅前に列をなしてとまっているタクシーの運ちゃんに順繰りに鍋屋の存在を聞いて行くと、数人目でようやく鍋屋を知ってる運ちゃんを見つけることができた。
車中、運ちゃんになんで「鍋屋」と呼ぶのか聞いてみた。当時50代と思しき運ちゃんは困惑しながらも、「オカマは男相手だから、女だから鍋なんじゃないの?」と、だれでも思いつく答えで納得させようとするのだった。
タクシーが着いたのは、温泉街の外れの川沿いにある某所。運ちゃんは路地の角にあるラーメン屋の2階を見つめ、
「あそこなんだけど、今日は明かりが点いてないな」
と呟いた。また適当なことを言ってるのかと思ったが、客を連れていけば運ちゃんにもマージンが入るはずなので、ウソは言ってないはず。しかし、どうも信用に欠ける運ちゃんだった。