翌週。ちょうど仕事に余裕ができたとき、マキから連絡があった。
「今日の午前中で試験が終わりました。ご都合がよろしければ、夕方にでもお会いしませんか?」
なんというグッドタイミング。時間に余裕のあった私は、マキが出やすい場所を聞き、さっそく約束を取りつけた。
夕方。待ち合わせの場所に行くと、ちょうどマキからメールが入った。
「ごめんなさい、ちょっと遅れています。5分ほど遅刻します」
そんなことでメールをくれるとは…律儀で丁寧な子だなあと思った。
5分ほどしてマキから「着きました」とメールが届く。見回すと、ブラウスに長いスカートをはいた女性に目が留まる。プリクラから受けた雰囲気と似ていたのだ。
「マキさんですか?」
私の声に反応し、スマホの画面から目を上げた女性が微笑む。やっぱりマキだった。
「まずはどこかでお茶でもしませんか?」
私がそう言うとマキが、「はい」と微笑む。私たちは近くのカフェに入って、お互いのことを少し聞いた。
マキは出会い系サイトのプロフィールどおり、大学3年生の21歳だという。
「年上が好きって書いてたけど…?」
「今まで年上としか付き合ったことがないんです。同世代の男の子って、なんか怖くって…。あんまりうまく話せないんです」
「そうなの? 大学には男の子も多いでしょ? マキちゃんだったら、いろんな人から声をかけられるんじゃない?」
「声をかけられることはあるんですけど、緊張しちゃって返事ができないんです。だから、なんか変なヤツみたいに思われていて…」
私と話す彼女が緊張しているとは思えない。何かのコンプレックスでもあって、同世代の男性に限り、コミュニケーションがうまく取れないのかもしれない。
マキはしばらく自分のことを話し続け、出会い系サイトをよく使っていることを明かし、サイトで会った人の中には「ちょっとおかしな人」もいたと話し始めた。