「それで、お客さん怒ってたの?」
「うーん。最初は不機嫌だったけど、なんとか最後はありがとうって言ってもらえたかな」
「そっかそっか。くるみちゃんが接客で取り返してくれたんだね」
「いや、お客さんが優しかっただけだと思うけど…」
「そんなことないよ。それで接客に満足いかなかったら、ありがとうなんて言葉絶対でないから」
「う、うーん。そうかなぁ…」
照れ笑いするくるみ。よし、あと一押しだ。
「ごめんね、こっちのミスでお客さんに気を使わせることになっちゃって。今回はくるみちゃんのおかげでその後のクレームもなかったみたいだし、助かったよ」
「まぁ、次回からちゃんとしてくれれば、もういいよ!」
「うん。今後はこんなことがないように指導しておくよ」
毎度のことながら、くるみは結構ちょろい。
第三者目線からの誉め言葉や、下手に出た謝罪ですぐに気を良くする。
「あっ、そういえば」
「どうしたの?」
「私、今月もナンバー入り(人気ランキング入り)したんだけど!」
「そうだね、おめでとう。よく頑張ってるね」
「そう思うなら、美味しいお酒飲みに連れてってよ」
「おお、そうだね。くるみちゃんとはまだ飲んだことないし、今日このあと行く?」
「行く行く!」
ニッと歯を見せて無邪気な笑顔を見せるくるみ。
ちょっぴりつり目できつい印象もある彼女の(美人ではあるが)可愛らしい表情に、思わずドキッとした。
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