しかし、根強く生きる風俗業界には、新たな動きが始まっていた。スポーツ紙や夕刊紙の三行広告を利用した風俗が増えつつあったのだ。
それは、スポーツ紙「内外タイムス」を中心に始まった。あの、1行~3行程度の小さな広告欄に、意味深な文字と電話番号だけが並べられ、興味を引いた客が電話すると、その内容を教えてくれた。
意味深な文字の代表が「NN」や「プチ」などだ。「NN」は「なま・なかだし」の頭文字をとったもの。意味はそのままだ。「プチ」は小さなもの=未成年を表していた。
もちろん違法で、デリヘルの届け出をせずに開業していた裏風俗であったが、同時にラブホ街の電柱や電話ボックスに貼られていたピンクビラも社会現象となっていた。
おそらく同じ違法風俗業者が複数の広告やピンクビラを発行していたと思われるが、ピンクビラは貼り付けること自体が売春防止法に抵触するため、警察の活動を取材したテレビのドキュメンタリー番組でも逮捕の瞬間が繰り返し放送されていた。
同じ頃、東京・秋葉原では新たな風俗(?)が芽吹いていた。メイド喫茶ブームが下り坂になるころ、それに変わって開店したのが「JKリフレ」だった。
「性的行為は行なっていないので、風俗店に非らず」という謳い文句で、ギリギリセーフのスキマを狙った店舗型リフレは、女の子に女子校生を起用したこともあり、徐々に人気が上がっていった。
一方、地方の裏風俗街でも摘発の動きが起きていた。平成19年(2007年)4月、全国で初めて福岡県警が「組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)」で小倉の京町のちょんの間を摘発した。北九州・小倉のちょんの間は、裏路地に並ぶスナックや小料理屋を舞台とした風俗街で、近年には出火などあり衰退気味ではあったが、翌年2月には消滅となってしまった。
そして平成21年(2009年)、政権交代により民主党政権が発足、鳩山由紀夫内閣が成立すると、風俗街に新たな不安が飛び火してきた。