理由はもちろん、真栄原を追い出された女のコたちが移転して来ていたからに他ならない。が、同時に大きな危機感を感じずにはいられなかった。
こんなにハデに商売したら、摘発も時間の問題。
誰もが同じことを思っていたに違いない。その予感のとおり、同年9月には吉原に大規模摘発が入り、約200軒にまで増えていたちょんの間が、年内には半減。翌年には、ほぼ壊滅状態にまで追い込まれてしまったのだった。
気になるのは、真栄原や吉原から追い出された女のコたちがどこに行ったのかだ。那覇市内にある小さなちょんの間街や、辻のソープランドに移ったコもいるようだ。しかし、女のコの多くは、内地(沖縄県以外の他府県)から出稼ぎに来ていたコだったので、それぞれの事情で、それぞれの街に移ったと思われる。
そして街はどうなったのか。真栄原社交街があった街は、今でも電柱に「違法風俗店禁止」などと書かれたプレートが貼られ、当時のままに建物だけが残り、ゴーストタウンのように眠っている。
吉原は、時間が逆戻りしたように、スナックの看板がポツポツと灯っていた20年前の暗くて迷路のような飲み屋街に戻ってしまった。今や“男のリゾート”を沖縄に求めるのは間違いのようだ。
(写真・文=松本雷太)