「それじゃあ、採用ってことで」
「えっ、ほんとですか!」
「もちろん。リナちゃんならガッツリ稼げると思うよ」
「ありがとうございます!」
今日一番の笑みを見せるリナに、コチラも笑顔で返す。
面接者の少ないこの時期に、アイドル級の新人を獲得できたのはラッキーだ。
しかし、ここで私の悪い癖が出てしまう。
「ところでリナちゃん。業界未経験の女のコには講習に参加してもらうことになってるんだけど、大丈夫?」
一瞬、きょとんとなるリナ。
「講習…ですか?」
「うん。簡単に言うと、接客の予行演習みたいなものだね。相手は俺が務めるんだけど」
「あっ! 一通り流れを全部やる感じですか?」
「そうだね。いざお客さんの前に立って、何したらいいか分からない…ってなると困るからね」
「なるほどです。わかりました、大丈夫ですよ!」
面接者が少ないのに、辞めてしまう理由になりかねない実技講習を提案するなんて、我ながら危ない橋を渡ったもんだ。まぁ、すんなり受け入れてもらえてよかったが…。
とにもかくにも、アイドルのように可愛い彼女を今から講習できるという事実に、私の胸は期待で膨らんでいくのだった。
※ ※ ※
いつも講習で使うラブホテルの一室に入室し、さっそく実技講習に入る。
まずは、簡単に入室から挨拶の流れを説明する。
持ち前の明るさと人当たりの良さで、あいさつや振る舞いに関しては文句なしの100点。言葉遣いなども問題なく、残すは“プレイ部分”のみとなった。
「よし! それじゃあ、服脱ごうか」
「はい! …ちょっと恥ずかしいですね」
「プライベートとはまた違った感覚だろうからね。でも、すぐに慣れると思うよ」
この言葉の後、リナは勢いよく服を脱いだ。
ピンク色のフリフリがついた下着は、そのデザインには似つかわしくないTバック仕様で、可愛らしさの中にエロティシズムを感じさせた。