アイドル・シーンにはむしろ新しい文化が生まれている~2018年アイドル・ポップス・ベスト10

 2018年は、中堅どころのアイドルグループが次々と解散し、大手事務所のアイドル事業からの撤退も目立った。アイドルシーンの衰退か……と新聞にまで載るようになった1年だったが、そもそもこの連載(もはや年に1回だが連載だ)では、2012年あたりからこうなると繰り返し言ってきたことである。しかし、それは別に予言のようなものではなく、単に産業構造として予測できていたものに過ぎない。

だって、こんなアイドルブームがいつまでも続くわけないじゃん。


 「アイドル戦国時代」というバズワードに悪態をつき(今タイピングをしながらしみじみ懐かしい単語だと感じる)、2000年代半ばを思いだせばアイドルブームが終わった後も、それはそれで楽しいはずだと考える、この連載の基本姿勢は、2018年が終わろうとしている今も変わらない。

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 2018年は、個人的にはE TICKET PRODUCTIONがプロデュースしたSummer Rocketのラップ・ナンバー「花火」で愛わなびの魅力に気づき、Summer Rocketを本現場にしたものの、3月に愛わなびを含む初期メンバー4人が一気に卒業。自動ヲタ卒になる事態となった。でも、楽しかったなぁ……。


E TICKET PRODUCTION「花火 feat.Summer Rocket」


 アイドル・シーン全体の話題としては、AKB48グループから宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美の3人が参加した韓日合同のグローバル・グループであるIZ*ONEの登場は衝撃的だった。アイドルに限らず、日本のアーティストの海外進出というのは、「米欧」「中国」「台湾以南のアジア」と相場が決まっていた。その中でAKB48グループは、K-POPの海外進出のフォーマットに自分たちを乗せてしまったわけだ。ひとつのパラダイム・シフトである。

 また、ローカル・アイドルのシーンが下火になっていく中で、NegiccoやNGT48がいる新潟のほか、新旧おやゆびプリンセスの解散後の石川県でのアイドルの増加など、北陸のアイドル・シーンの盛りあがりには注目していた。2018年11月11日の空野青空の生誕祭「空野青空生誕ライブ~にゃんにゃんフェスティバル2018~」のため石川県小松市に行って、現地の熱も実感した。

 20代の若いプロデューサーが増えていることにもシーンの変化を感じる。マーケットがシュリンクしていくことを承知の上でアイドルを送りだしているところに、新しい文化の流れすら感じている。

 というわけで、世間の雰囲気とは逆に、むしろ例年よりも何か建設的なことを書いている気がするので、このまま年間ベスト10に行きたい。

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