ホテルに入室すると、すぐさま講習に入った。
「最初にお客様と対面したら、まずご挨拶からね」
「こんちわー! とかいいんですかね?」
「だめだよ(笑)。“ご指名ありがとうございます。エリです”くらいは言おうね」
「はぁい…すいません…」
エリは目に見えてしょんぼりした。
彼女のキャラクターならフランクな感じでもウケるだろうが、最初の挨拶だけはきちんとしておかなければ、お客様によっては不快感を感じてしまう。
私は心を鬼にして、彼女に基本的な言葉遣いやマナーを指導した。
「それじゃあ、そろそろシャワーを浴びて、実技に入ろうか」
「おお…実技…。頑張ります!」
さすがに出会い系で慣れているのか、恥ずかしがる様子もなくポイポイ服を脱ぎ捨てるエリ。
そして、私よりも早くシャワールームに入り、お湯を出して温度を見始めた。
「エリちゃん、そういう気遣いすごくいいよ」
「えー! 本当ですか、嬉しい♪」
「あとは、服を脱ぎ捨てるんじゃなくて、きちんと畳むとかすれば完璧かな」
「はぁい。気をつけます!」
褒められたことがよほど嬉しかったのか、エリはシャワールームでは終始ご機嫌だった。
…
……
「それじゃあ、全身リップからだね」
「はい!」
シャワーを浴び終えた私たちはベットに横になり、実技講習が始まった。
まずは、基本的な全身リップからだ。
ぴちゃ、ちゅっ、ちゅるる…ちゅぱ…。
肌に吸いつくような、気持ちいいリップサービス。
柔らかな唇とヌルヌルの舌が、カラダをどんどん舐めまわしていく。
出会い系で磨いたテクニックは、相当なものだった。