【元デリヘル店長の回想録】「店長のセフレになりたい!」と志願してきた24歳の若妻


 じっとりとした暑さが続く7月上旬。私は愛を連れて個室居酒屋に来ていた。

 本番を武器にランキングに食い込もうとしている彼女と、最初の面接以来一度も話していなかったからだ。


「お疲れ様。最近よく頑張ってるみたいだね」

「…ありがとうございます。でも店長、怒ってるんですよね?」


 暗い表情で、こちらの様子をうかがう素振りを見せる愛。

 おそらく、本番をしていたことがバレて、なにか罰を食らうとでも思っているのだろう。


「あぁ、本番のことかな? 別に怒ってないよ(笑)」

「そう…なんですか?」

「うん。まあ、知ってしまった以上は“これからは控えてね”としか言いようがないけど」

「はい、すみません…」

「でも大丈夫。愛ちゃんの努力は認めてるよ。だからこそランキングに食い込みそうなわけだからね」

 それまで暗い顔だった愛は、ランキングという言葉に敏感に反応した。


「ランキングに入れば、これからもっと稼げるようになりますか?」

「えっ? まぁ、新規のお客様は今よりも増えるだろうね」

「だったら私、もっと頑張ります」


 瞳の中に聖火を灯すがごとく、彼女は強い眼差しで私を見つめた。

「っていうか、たしか愛ちゃんって、借金返済のために入店したんだよね?」

「そうです。旦那が今36歳で一回り違うんですけど、事業が失敗しちゃって…」

「それで、とにかくたくさん稼いで返済に充てたいって言ってたよね」

「はい。だから、少しでも早くたくさん稼いで借金を返して、卒業したいんです」

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