「喉渇いたー! コンビニ寄って!」
「んー、次見かけたら寄るね」
「いーやー! 今すぐー! はやくー!!」
「ムチャ言いますなぁ…」
彼女は“超”がつくワガママで、とにかく口が悪かった。
「遅刻したんだし、今日はとことん付き合ってもらうからね」
「遅刻してもしなくても、付き合わせるつもりだったんでしょ」
「うっさい! さっさとコンビニ見つけてよ!」
こうして、朝から晩まで彼女の買い物や食事に付き合わされることになった。
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「ねぇー、ここのご飯あんまり好きじゃない…」
「え、マジ? 美味しいと思うけど」
時刻は午後7時。一通り買い物も終わり、晩御飯を食べようとふらりと入ったイタリアンレストランでのことだった。
普通に美味しいと思うのだが、ハルカはどこか不満気だ。
「っていうか、お酒が飲みたい」
「あー、ワイン苦手なんだっけ?」
「わかってるならイタリアンなんか連れてこないでよ」
「先に言ってよ(笑)」
彼女は明らかにふてくされていた。
とはいえ、今からまたもう一軒はしごするのも面倒だ。
解決策は見つからず、とりあえず冗談交じりに、
「じゃあ、俺の家で飲む?」
と言ってみた。
「はぁ? 行くわけないでしょ!」と返ってくるかと思いきや、
「え…? いいの?」
と、少し嬉しそうなハルカ。
ほころんだその表情に、少しドキッとした。
「何その反応、可愛い(笑)」
「う、うっさい! 早く食べて行こ!」
急かされるように食事を終え、自宅に向かうことになった。
途中で酒やおつまみを買ったのだが、その時もハルカは鼻歌を歌うなどご機嫌だった。
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