それに関して、ちとおもしろい噂も思い出した。北千住の北には東京拘置所があり、死刑囚が最後の望みとして希望すれば、そのソープで最後のお遊びをすることができたというのだが…。
その話を、足立区出身の某エロ本編集長H氏に聞いてみた。すると、「そんなの都市伝説だよ!」と、一笑に付されてしまった。
逆に、「死刑執行という辛い仕事をした刑務官が、精進落としに利用したっていうなら可能性はなくもないかな」と。「でも、吉原が近いし、オレだったら吉原行くよな。どっちにしろ都市伝説の域だな」と、やはり笑い飛ばすのだった。
風俗店を探しながらあらためて考えてみると、今さらではあるが、筆者自身、ライターになる前も後も、ひょっとしたら足立区の風俗で遊んだことがないのではないか、ということに気づいた。風俗以外にも、足立区で発射したことすら、たぶんない。
面積5分の1の荒川区でさえ5、6発は抜いていることがわかったのに、「下町の新宿」がある足立区ではゼロ? 自分でも驚いたが、何度考えてもゼロはゼロなのだ。
ソープがなくなった今、北千住に残る正規の店舗型風俗店は、某ファッションヘルス1軒のみとなっている。だが、その店があるのは、なぜか駅前の繁華街ではなく、駅から徒歩7、8分離れた国道4号線(日光街道)沿いだ。そしてそこは、大黒湯の目と鼻の先。そのあたりに千住遊郭との結びつきを想像してしまうのは、たぶん妄想狂に違いない。
足を棒にして北千住を歩いてみたものの、風俗店は既知の箱ヘル1軒とピンサロが3、4軒のみ。その足でお隣の綾瀬駅へ向かうことにした。
クルマで駅周辺をウロチョロしたことはあるが、綾瀬駅周辺を歩くのは初めてのこと。前出のH編集長は「綾瀬はあるかもしれん」と言っていたので、期待を込めてさらに足を棒にしたのだが…。
JR綾瀬駅周辺の繁華街は、線路の高架に沿って発展している。線路の両側に広がる繁華街を一往復して、発見した怪しい店は、南口にあった大陸エステの1軒のみ。あとは「飲み屋に占領された街」という印象だった。逆に、エステが少ないような気がしなくもない。