「なつちゃん、お昼ご飯はもう食べた?」
「えっ? あっ、はい。そこのコンビニで」
「あそこのコンビニって、この事務所の人間もよく行くんだけど、店員がすごかったでしょ」
「確かにすごく奇抜な髪型してました(笑)」
「接客業なのにあの髪型はすごいよね(笑)」
よしよし、愛想笑いでもなんとか笑顔を引き出すことができたぞ。
面接とは関係のない話を繰り広げること約5分。緊張の糸がほぐれたなつは、見違えるように柔らかい表情になった。
…
……
「よし! それじゃあ、そろそろ面接始めようか」
「は、はい! よろしくお願いします」
キュッと唇をかみしめ、気合いを入れたような表情を見せる。
「どうしてこの業界に?」
「男の人によく体の関係を迫られることがあるんですけど、私、結構なんでも受け入れちゃうタイプで…。もしそれがお仕事になるならやってみたいなぁ、と思いました」
「エッチなことをするのに抵抗はないの?」
「そうですね…。むしろ好きな方だと思います(笑)」
容姿だけで言えば、かなり性格のキツそうなクールビューティーといった感じだが、実際に話してみるとおっとりした優しい雰囲気だった。
頑張りたいこと、できるプレイ、注意事項…。それぞれの説明に彼女は頷き、真剣に耳を傾けた。思った通り、根は真面目な女性のようで安心した。
「うん、それじゃあ採用ということで」
「ありがとうございます!」
「ところで、なつちゃんは風俗未経験ってことだから講習を受けてもらうけど大丈夫?」
「は、はい。講習…っていうのは」
「簡単に言えば、接客の練習だね。お客さんの前にぶっつけ本番で出すわけにはいかないから」
「あっ、なるほど。了解です、大丈夫です!」
まぁ、彼女の性格ならOKなのは分かっていた。
あとは、どこまでできるかだ…。
下衆な考えを巡らせながら、なつを連れていつものラブホテルに向かった。