「お、おねがい!! みんなには…」
「大丈夫大丈夫。誰かに言ったりなんてしないから落ち着いて」
今にも泣きだしそうな彼女を、なんとか落ち着かせる。
「俺も風俗の店長やってるなんて、みんなに言えないよ(笑)。お互い秘密ってことで」
「う、うん…。分かった」
実際は、私が店長やってることは地元の友達全員知っていたが、そんなこと言ったらパニックになるかもしれなかったので、優しいウソをついた。
「風俗で働くのは、ここが初めてなの?」
「う、うん。やっぱり経験ないと雇ってもらえないのかな…」
「そんなことないよ。むしろ未経験から始めてるコのほうが多いくらい」
彼女の不安を取り去るために、心地よい言葉をポンポン並べていく。
中学の同級生だろうが何だろうが、大事なのは従業員の確保だ。
私はいつも通り仕事のメリットやお金について語り、彼女を口説き落とした。
…
……
「トウカちゃん…採用ということで」
「あ、ありがとう! 頑張るね」
「ちなみに、未経験の子には必ず講習を受けてもらってるんだけど…」
「講習って?」
「お客さんへの接客の練習だね。ぶっつけ本番でお客さんを任せるわけにはいかないから、お仕事の流れを全部やるの。…で、相手は俺になるんだけど大丈夫?」
トウカは一瞬恥ずかしそうにうつむいたが、すぐに顔をあげて
「うん、頑張る! 大丈夫!」
と返事した。