「求人応募の…ちづるちゃんでよかったかな?」
「はい、そうです。風俗で働くのが初めてでも大丈夫と書いてあったのですが…」
「もちろん。講習もあるので、すぐにお仕事に慣れることはできると思います」
さりげなく面接の冒頭で講習のことを相手に伝えてみる。
ちづるの醸し出す甘い色気にあてられたのかもしれない。
「講習というのは、お仕事の内容を教えてもらうものでしょうか?」
「そうだね。俺がちづるちゃんとホテルに入って、お仕事の流れとか、君がどこまでできるのかを見させてもらうカタチだね」
「なるほど。早く仕事を覚えたいので、ぜひよろしくお願いします!」
ちづるは根が真面目なのか、講習に対してかなり前向きだった。
これなら、疑われるようなこともなく、講習でおいしい思いができるそうだ。
この後の講習がどんなものになるのか妄想を膨らませるため、さらに質問を繰り出す。
「ちづるちゃんはどうしてこの業界に?」
「やっぱり一番はお金ですかね。結婚してから自由に使えるお金が少なくて…」
「えっ! 結婚してるの!? まだ若いよね?」
「はい。今年22歳になります。でも、人妻の色気みたいなのがあるってよく言われます」
「俺もそう思ったよ。すごく色っぽいお姉さんって印象だった」
なるほど。この色気は人妻特有のものか…。
彼女が旦那持ちであることを知ると、さらに魅力が増した。
将来を誓い合った人間に内緒で他人のモノを奉仕しようとしているなんて、こんな興奮するシチュエーションがあるだろうか。
「ちなみに、男性を悦ばせるテクニックとかに自信はあるの?」
「どうですかね。旦那にいろいろ教わったので、それなりにできると思うんですけど…」
「そっかそっか。男性の経験人数は多いのかな?」
「3~4人でそこまで多くないです。でも、旦那とは100回以上はしているので回数は多い方かなーっと」
たとえ同じ人間とでも100回以上の経験は十分過ぎる実績。
旦那から仕込まれたテクニックというのも非常に気になる。
(もはやこれ以上の詮索は無用! あとは実戦でポテンシャルを見せてもらおう。)
「なるほどね。よし! じゃあ、ちづるちゃん採用ということで」
「あ、ありがとうございます!」
「で、さっそくなんだけど、講習は今からでも大丈夫?」
「はい、問題ないですよ」
「じゃあ、このまま移動しようか」
私はちづるを連れて、いそいそと事務所を後にした。