風俗業界には、実にさまざまな境遇の女性たちが飛び込んでくる。
借金を背負っている者、遊ぶ金が欲しい者、単純に性行為が好きな者…。
人によってここまで理由が違うものなのかと、業界に入ったばかりのころは驚きの連続だった。
いろいろな出会いと別れがあったが、私の記憶に強く残っている女性がいる。
その女性は、本来風俗とは無縁であるべき「本物のお嬢様」だった。
【風俗嬢と体の関係~セイラの場合~】
店の雰囲気に合っていない、ひとりのキャストがいた。
正確に言えば、店の雰囲気というよりも「風俗」という業種そのものに合っていなかった。
彼女の名前はセイラ。
純情可憐、品行方正、晴雲秋月…、心や容姿の美しさを形容する言葉はいろいろあるが、それを具現化したような「THEお嬢様」だった。
彼女は、誰もが知る某有名女子大に通う3年生。学生には到底手の届かない高級タワーマンションに居を構え、高級外車に乗り、仕送りは月30万円を超えるという金持ちっぷりだ。
だが、それを鼻にかけたりせず、普通であるかのように振舞うせいか、彼女に対して変な嫉妬心や嫌悪感が生まれることはなかった。
そんなお嬢様セイラが、なぜデリヘルで働くことになったのか…。
※ ※ ※