話して少し安心したのか、ケイトの強張っていた表情に笑顔が見えるようになった。
「アタシもなんか頑張れそうな気がしてきました!」
「それは良かった。これからよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします!」
ここで、私にとって最も重要なことを口にする。
「ところで講習はどうする?」
「講習…ですか?」
ぽかんとした表情でこちらを見るケイト。
補足するように説明を続ける。
「簡単に言うと、俺をお客さんと思ってサービスを練習することだね」
「ええっ…恥ずかしいです…」
明らかに動揺を見せるが、ここで簡単に引き下がっていては美味しい思いなんてできない。
“引きつつ、攻める”が、風俗業界の説得の基本だ。
「もちろん強制じゃないよ。嫌ならそのままぶっつけ本番でお客さんに案内できるから」
「他の皆さんってどんな感じなんですか?」
「基本的に未経験の子には受けてもらってるね。本来お客様の前にサービスが未熟な状態では出せないから」
「私みたいな子もそんな感じなんですか?」
「そうだね。やっぱり夢に向かって必死な子って仕事にも真剣だから。皆受けてるよ」
「そ、そうですよね…。わかりました! 店長、講習お願いします!」
ペラペラと口から嘘が溢れ出てくる。
我ながら詐欺師の才能があるんじゃないかと思うくらいだ。
風俗という初めての世界に飛び込む未経験の女性は、特に口車に乗せやすい。
私はまた1人、女性を美味しくいただけることに心を躍らせていた。