風俗店のスタッフ時代、私のキャスト管理の方法は「友達のように振舞う」ことだった。
普通、キャスト管理は「仕事の関係」という概念が強くて、会話の内容といえば多少の近況報告はあるものの、基本的には出勤や指名の取り方など仕事に関係することばかり。私のような方法で管理するのは、当時勤めていた店では珍しかった。
そんな中でプライベートでも遊ぶほど仲の良いキャストがいたのだが、私はその女性に従業員以上の感情を持ってしまったことがある。今回はその時のお話をしようと思う。
【風俗嬢と体の関係~キララの場合~】
「も~いやぁ~! 帰るぅ~!」
「キララ! もうちょっとだけ待ってってば!」
受付終了時間まであと1時間。
給料日前のド平日、こんな明け方にお客は来ないと分かっていても、もしもに備え、店ではキャストをいつも最低一人は残していた。
今日はキララ以外のキャストがラスト前に全員上がってしまったので、彼女には強制的に残ってもらっているわけだ。
「お客さんなんかもー来ないって!」
「もしかしたら電話来るかもしれないじゃん」
イヤイヤと駄々をこねる子供のように首を振るキララ。
少し長めの明るい茶髪がいい香りをまきながら揺れる。
「じゃあ、賭けよう! もし仕事が来なかったら、焼肉とカラオケおごりね」
「お客さんが来たら?」
「そのまま仕事に行ってあげよう」
「俺のメリット少なすぎるでしょソレ!」
ケラケラ可愛らしい顔で笑った彼女の横で、固定電話の着信ランプが光る。
キララが怪訝そうな顔をしたが、それを横目に私はにやりと笑って電話を取った。
……
…
「くっそ、まさか別の女の子の予約だったとは…」
「じゃあ、賭けは私の勝ちということで」
結局、受付時間が終わるまでにお客さんが来ることはなく、そのまま閉店。
お互い次の日も仕事だということで、今回は取り合えずカラオケで遊ぶということに落ち着いた。焼肉は次回以降に持ち越しなんだとか。
カラオケに入ると、いつものように隣り合わせに座った。
以前は向かい合わせに座っていたのだが、最近はこの座り方がしっくりくるようになっていた。
フードメニューをぱらぱら見ながら鼻歌交じりに何を選ぼうか迷っている彼女の胸元に、思わず釘付けになった。
ぱっくり開いたシャツからは、Fカップの美しい谷間が顔を覗かせていた。
「おいっ! 見すぎ(笑)!」
食い入るように見ていたせいで、彼女がこちらを見ていることに気が付かなかった。
…が、私は視線を外さなかった。
「いやぁ、相変わらず立派だなぁと」
笑いながらそう言うと、ペシッと額を叩かれた。なかなかいい音が鳴った。