15年ほど前の夏のある日、山中湖のキャンプ場で知り合った千葉と茨城の県境の町に住む男が、奇妙なことを言ったんです。
「うちの方では、サウナが昔の“トルコ風呂”みたいな感じなんですよ」
真面目で実直そうな男だったので、
「サウナとトルコ(ソープランド)の違いもわからんのか、やれやれ…」
と思ったんですが、違っていました。
当時、神栖(かみす)のバイパス付近には「サウナ」という看板の出た建物が並んでいました。しかし、その内容は
“完全にソープランド”
だったんです。いわゆる無届け営業の裏風俗です。しかも、看板まで堂々と出して。
どう考えても完全にアウトだろうと思っていた矢先に摘発が始まり、「風俗サウナ」は根こそぎ廃業させられてしまいました。
残念なことに、現在残っているのは普通の「健康サウナ」だけ。廃業した「風俗サウナ」がその後どうなったかというと、取り壊されて新たな建物ができたところもありますが、その多くは、改修工事でラブホテルへとリニューアルすることに。
かくして、「裏サウナの街」神栖は「デリヘルの街」に生まれ変わったのです。