休日の口開けを予約することができ、前日の夜の酒も控えめにし、朝食にも好きな納豆は抜き、愛車の中古車で吉原に向かうのでした。
ヨーロッパ調の外観の店の前にクルマをつけると、白シャツにネクタイ、黒ズボン姿のボーイが走り出てきます。
「松本様ですね。お待ちしておりました」
一瞬、筆者も有名になったもんだと浮き足立ちましたが、予約してるからだと気づきます。
店内は、赤を基調とした絨毯にペイズリー柄の壁紙。待合室もローマ建築風です。ソファーは15席ほどで、テーブルの足は猫足。床には、なんと虎の毛皮が敷かれています。お金持ちですな~。
ボーイが持ってきたアイスコーヒーをひと口飲むと、気づかないうちに興奮していた気持ちもホッとひといき。これから起こるであろう濃厚なプレイを夢想すると、次第に股間も熱く火照ってくるのでした。
半笑いで妄想にふけっている時、ボーイがオレの名前を呼びます。
「松本様、大変お待たせいたしました。お部屋のご用意ができました」
腑抜けた顔を見られたかと、うつむきながら待合室を出ると、廊下の先に黒いドレス姿のスレンダーな美女が立っていました。
「こんにちわ」
美女は一瞬、ニコリと愛想笑いを浮かべただけで、二階の部屋に案内します。第一印象は、「愛想悪」のひとこと。
「本日はご指名ご来店、まことにありがとうございます~」
ボーイの方が大きな声で見送ってくれるのでした。