【No.1キャストがなぜそこまで頑張るのか】
No.1キャストである彼女たちに共通していなかったのは、彼女たちがそこまで頑張る理由だ。
ひとりは将来の準備のため、ひとりは親の借金返済のため、ひとりは彼氏であるホストのため…実に様々な背景があった。
それに、実際に直接話をしてみれば、仕事の面以外、何のことはない普通の女の子という感じでもあった。
もちろんそれすらも、彼女たちの計算された接し方である可能性も…。
その表彰式でグランプリは逃したものの、ノミネートされたことのある元風俗嬢の知人は言う。
「目標に向かって走ってる時はね、稼ぐ理由はどうあれ、その目標以外周りが見えなくなるの」
「ホストに貢ぐ金でも、借金を返す金でも、とにかく自分がお金稼げることに変な自信とプライドを持っちゃうの」
「皆に認められている様な、稼いでる自分が必要とされてる様な、そういう変な感覚が続くと、自分の体の具合も分からなくなる」
「今、風俗で頑張っている人は、私みたいに取り返しのつかないことになる前に気付いて欲しいけどね」
そう話す彼女は、性病から併発した子宮頸がんによって、子を宿せない身となった。
風俗で働くリスクは理解していたものの、彼女にとって非常にショックの大きい出来事だっただろう。
私が知る限り、一度No.1キャストへと上り詰めた風俗嬢で、風俗を辞めたその後に一般的な幸せを掴めた者はいない。
もちろん、私がただ知らないだけ、という可能性の方が高いことではあるが…。
もしかすると、彼女たちには「幸せになれない」という共通点があるのかもしれない。
(文=小鉄)
【元デリヘル店長の回想録】バックナンバー
第1回:別段可愛くもないけど、やたらと本指名を取れるキャストの特徴と仕事に対しての考え方
第2回:「さっきの客、マジでキモかった」と言い放つ傍若無人なキャストに教わったこと
第3回:貴方は騙されてない? 風俗スタッフの巧みな接客テクニック
第4回:押しに弱そうな風俗嬢を本当に押し倒した話
第5回:理性が吹っ飛び、モデル系22歳の若妻と関係を持ってしまった話
第6回:風俗嬢たちの狂った金銭感覚