【本番することに抵抗がなく、むしろ率先してやっている】
私が一番驚いたのは、本番についてである。
本番の有無は、半々くらいの割合になるかと思いきや、
グランプリにノミネートされた10名のキャスト全員が本番をしていた。
本番をしていなくても本指名を返せるキャストを今までに何人も見てきた私は、「本番せずに本指名を返すことができる子こそ、本物だ」と思っていた。
しかし、今回の表彰式でその考えを一気に覆された。
彼女らが口を揃えて言うのは、「他の子たちがやってないからやるんだよ」ということ。
他のキャストよりも多くの指名を得るためには、どうにかして他のキャストよりも優れなければいけない。
より多く本指名を返すためのひとつの方法として、彼女たちは本番行為を率先して行っているのだ。
私は、マーケティングにおける基本である「差別化」を、彼女たちが独学で行っているということに思わず舌を巻いた。
本番行為という自分にできる材料を使って、他のキャストたちとの差別化を図っていたのである。
そしてもちろん、この本番行為をするだけで本指名が爆発的に伸びるわけではない。
それこそ私が考えていた「本番以外で本指名として返す接客技術」を並行して行うのだ。
他のキャストと差別化するために、自分ができることをすべて行う。No.1キャストたちにはこの意識が全員にあったのである。