【美味しい料理と近付く距離】
買い出しが終わり、美春を私の家へと招き入れる。
時刻は昼前で、空腹感もちょうどいい。
「ちょっと待っててね~」と、手際よくキッチンで料理を始める美春。
他人の妻が自分の家で料理を作ってるなんて、すごい状況だな…。
そんなことを考えていると、自分の愚子がすぐに反応した。
昔から、人の彼女や人妻を奪ったりする、いわゆる寝取りに対してすごく興味があった。
ただ、実際にそれを行うにはリスクがあまりに大き過ぎる。
相手との人間関係がこじれてしまったり、相手が既婚者であれば、その配偶者に訴えられて裁判沙汰になる可能性だってあるわけだ。
だったら、妄想は妄想のまま留めておいた方が無難だろう。
…ただ、美春は「風俗嬢として働いていることを夫に隠している」。しかも、他の客とセックスしている可能性が高いのだ。
と考えれば、
彼女に手を出しても、バレないのではないか…。いや、でも…。
「できたよー!」
「うぁい!!」
思わず変な声が出てしまった。
嬉しそうに、できあがったクリームパスタを運んでくる彼女。
とりあえず、私は一旦考えるのを止め、美春と並んで座る。
パスタはとても美味しく、お店で出されてもおかしくないほどのクオリティだった。
美春本人も、「会心の出来!」と自画自賛した。
空腹も満たされ、まったりとした時間が流れる。
ゆっくりと美春の肩に手を回し、自分の方へ抱き寄せた。
彼女はそれに逆らうことなく、私の肩に頭を乗せ、体を密着させてきた。
ふと目と目が合う。
目を離さず、鼻先がつきそうな距離までお互いに顔を近づけていく。
私の理性はそこで吹っ飛んだ。