実際、指名を取るために本番を利用して顧客を囲うキャストは多いし、それを黙認している人間も多い。
ただ、本番ができるというだけでは、あれだけ多くの本指名客を得られないはず。
「私って、別にそんなに可愛くないじゃないですか~。でも皆可愛い可愛いって褒めてくれて、私嬉しくなっちゃって…。こんな私を、気持ちよくしてくれようとしてくれるお客様達が好きなんですよ~。お金貰うのが申し訳ないです(笑)」
屈託のない笑顔で彼女は笑いながら話した。
あぁなるほど、これは他のキャストには真似出来ない部分だわ。と、この時私は悟った。
彼女は、顧客を顧客として見るつもりがなく、また自分を風俗嬢として見てもいない。風俗店そのものを“性欲を解消したい、男女の出会いの場”として利用しているだけなのだ。
【風俗で働くための才能】
セックスが好き、エロいことが好きという理由で風俗業界に足を踏み入れる女性は少ない。
そういった女性は風俗ではなく、出会い系サイトなどを利用する。
それは女性がたとえセックスが好きでも、相手を選びたいという考えがあるからだ。
ある程度の容姿や性格を見極めた上で、体を許す…それが本来性欲の高い女性が選ぶ道である。
優香はその考えのネジが一本、いや複数本が飛んだ風俗嬢だった。
彼女は男性を選別する行為ですら面倒だと考え、風俗店への入店を決めたのだ。
ただただ“気持ちいいことがしたい”という、直感的な本能のままに行動を起こす人間だったのである。