【彼女には顧客とキャストという概念がない】
事務所近くの個室居酒屋に優香を呼び出し、酒を交えて食事をする。
「店長とお食事なんて初めてですねぇ~」
気の抜けた話し方で会話を続ける彼女に、私は気になっていることを聞いた。
「なんであんなに本指名取れてるの? プレイの内容頑張ってるとか? 連絡先交換しまくってるとか?」
まくし立てる様になってしまったが、この際聞いておきたいことはすべて聞いておこうと考え、私は続ける。
「当日欠勤とかでお客さんに怒られたりしてないの? まぁお店にクレームは来てないけど…」
う~ん、と少し唇を噛み、困った顔をした後に彼女は口を開く。
「私、えっちなことが好きなんです~(照)」
「…は? あっ、そういう設定で売ってるってこと?」
「違いますよ! ほんと~に好きなんです(笑)!」
何を言ってるんだコイツは、と思った。
「人によってセックスの仕方って違うじゃないですか~。だから、いろんな人とそういうことができるこのお仕事って、楽しいんですよね~」
風俗を楽しいと考えているキャストなんて聞いたことがない…。開いた口が塞がらない私を無視して彼女は続ける。
「だから、お客様っていうよりセフレ?的な感じで接してたら、皆いっぱい指名してくれるんですよぉ~」
「えーと、本番に応えまくってるってこと?」
「うーん…本番したいって人には応えますけど、ほとんどしてないですよ! …あ、そもそもえっちしたら駄目なんでしたっけ(笑)。ごめんなさい」
正直なところ、本番どうこうというのはどうでも良いことだ。