■9位:ゆるめるモ!「逃げない!!」
ゆるめるモ!でプロデューサーの田家大知が狂ったように生みだし続ける楽曲群から何を選べばいいのか毎年悩ませられるのだが、ここではゆるめるモ!の代表曲「逃げろ!!」と対をなす「逃げない!!」を挙げることにした。アルバム「YOUTOPIA」収録曲。作詞した小林愛のメンバーへの愛情には、胸を打たれ続けることになった。
なお、最後の最後まで迷ったのは、「TALKING HITS EP」収録の「NEW WAVE STAR」だ。ジャケットから思いきりトーキング・ヘッズの「Remain In Light」、しかも「NEW WAVE STAR」のアフロなリズムは「Life During Wartime」だ。
ただ、繰り返し聴いた回数で「逃げない!!」を挙げた。これは、「逃げろ!!」と並ぶ彼女たちの宣言なのだから。
■10位:CYNHN「FINALegend」
JOYSOUNDとディアステージの共同オーディションで選ばれた、崎乃奏音、綾瀬志希、青柳透、桜坂真愛、月雲ねる、百瀬怜の6人からなるグループがCYNHN。「FINALegend」は彼女たちのデビュー・シングルである。
いわゆる「でんぱ組.inc以降」のなかでも、その感覚を継承しながら、サウンドやアートワーク、衣装などで別のイメージを提示することに成功している。かと思うと、3分過ぎから始まるメンバーのソロ・パートの思いきった構成が痛快。作詞作曲はスマイルカンパニー所属の渡辺翔だ。
■インド:HARU「ときめきスパイシー」
2017年は「インド」が独立した枠となることを理解してほしいし、理解されるかされないかなど、もはや関係がない。事態は緊急を要するのだ。
2016年にあるグループを去り、その後裏方スタッフとして立派に働いていた女の子が、ある日突然「インドで活動するセルフ・プロデュース・アイドル」として私たちの前に再び現れたら、あなたはどう感じるだろうか? もはや狂ったように動画を再生するしかない。
そもそも、インド風の衣装やコスプレ衣装を着ているが、彼女の活動はインド向けなのだろうか、日本向けなのだろうか?
そして、これまでの現場がインドのニューデリーとネパールのカトマンドゥしかない、というのも他に比するものがない難易度の高さである。
余談だが、HARUのほかにも、2017年はかおりんたも戻ってきてくれたので(歌手活動はしていない)、あとはディア☆を脱退した千影みみが幸せでいてくれることを願うばかりだ。
■ある視点:Rice&Beer「糖尿ザスター」
当初はBiSの元研究員3人によるグループだったが、元BiSのミチバヤシリオが加入にして4人に。…この一文の段階ですでに異常なのだが、最新情報では8人ぐらいいるらしい。雑すぎる。
そのRice&Beerが歌うのは、BiSHの「プロミスザスター」の替え歌「糖尿ザスター」。こうしたカルチャーが阿佐ヶ谷ロフトA周辺にはあり、挙句2017年11月11日の「ヤブ医者ごまかせNight」では、Twitterで日本のトレンド2位になる事故が発生してしまった。元研究員は元気だ。
いろいろ申し訳なくなってきたので、BiSHの所属するWackの今年の最高傑作であるものの、扱いに困ったbeat mints boyz(松隈ケンタ+渡辺淳之介)の「スパーク」を貼っておきたい。
さて、2018年が終わるころ、ライヴ・アイドル・シーンはどうなっているだろうか? 答え合わせは、また1年後に。
(文=宗像明将)