■6位:僕とジョルジュ「二月生まれ」
「僕とジョルジュ2」収録曲で、姫乃たま作詞、カメラ=万年筆の佐藤優介作編曲。
「二月生まれ」は、姫乃たまにしては珍しいほど男性に甘えた歌詞で、そこに佐藤優介の昂揚感をもたらすメロディーとサウンドが響く。
MVは、なぜ岡村靖幸の「だいすき」のオマージュなのか? よくわからないところも含めて僕とジョルジュらしい。
■7位:Maison book girl「16歳」
ミニ・アルバム「cotoeri」収録曲。これまでに比べてポップだ。そして、サビで鳴り響く生っぽいドラム。サクライケンタ作詞作曲編曲の才能が爆発した楽曲が、12月になって届けられたのにはまいった。東佳苗監督のMVも含めて、Maison book girlの新たな魅力を提示することに成功した楽曲だ。
Maison book girlのフル・アルバム「image」も冒険作であり、「16歳」のMV公開までは「image」を挙げる気でいたが、「16歳」での大胆な変化には快哉を叫んだ。
■8位:寺嶋由芙「世界で一番かわいい君へ」
セルフ・ディレクションには良い面も悪い面もあることは、寺嶋由芙自身がもっとも自覚的であるはずだ。そんな中で、寺嶋由芙のセルフ・ディレクションの最良の産物は「世界で一番かわいい君へ」だった。詳細はEMTG MUSICでのインタビュー(http://music.emtg.jp/special/201711108522a93f3)を見てほしいが、ここにおいて寺嶋由芙は「世界で一番かわいい君へ」の歌詞を多義的なものにしたいと考え、相手がゆるキャラでも、アイドルでも、恋人や家族でも通じるものにした。このハードルの高いオーダーを見事にこなしたのは、作詞のヤマモトショウである。
「世界で一番かわいい君へ」は、シングル「知らない誰かに抱かれてもいい」のカップリングだが、続けて聴いたときの世界の変貌ぶりに驚いたものだ。プロデューサーの加茂啓太郎は、寺嶋由芙でカーペンターズをやりたいと語ってきたが、「世界で一番かわいい君へ」にあるのは、まさに1970年代のA&Mレコードや、1960年代のキャロル・キングとジェリー・ゴフィンの作品群に通じる感覚なのである。
フィロソフィーのダンスの「ベスト・フォー」と、寺嶋由芙の「世界で一番かわいい君へ」が、ともにヤマモトショウ作詞、芦沢和則作曲であることは特記しておきたい。