声をかけてきた女性は、物欲しそうな顔で俺をジッと見つめる。そこで俺は、「次のレースは5番の馬が気になるね」と言った。すると女のコは、「参考にします(笑)」と、馬券売り場に走っていった。
何となく5番と言ったが、その直感も的中する。そんなに大金を賭けていないので大した儲けにはならなかったが、それでも朝からの勝ち続きで懐はずいぶんと温まった。
その後、昼飯でも食おうとウロウロしていると、
「ありがとうございます。当たりました! これから昼ご飯ですよね? ご馳走させてください!」
と、先ほどの女のコがやって来た。
明るい笑顔に釣られ、一緒に食事をとる。競馬のことをいろいろ聞かれ、それに答えながらの食事となった。
仲良くなり、午後は一緒に競馬を楽しむことに。俺も彼女もプラスで、ご機嫌のまま競馬場を後にした。
その帰り、「祝勝会しましょうよ」と誘われて居酒屋へ。ここでも競馬の話で盛り上がった。
店を出るころには、かなり酔っていた彼女。少しふらついていたので支えてあげようとすると、向こうから腕にしがみついてきた。
「今日はすごく楽しかったです。まだ話したいんですけど、時間ありますか?」
そう誘われ、「大丈夫だよ」と答える。すると彼女は嬉しそうに笑ってから、「静かなところに行きたいな。私のチョイスでいいですか?」と言ってきた。俺が「うん。任せるよ」と返事をすると、彼女はサッサと歩き始めた。
着いた先は…なんとラブホ!
「えっ!?」と俺が戸惑っていると、「行きましょ行きましょ」と手を引かれる。そのまま入室し、ソファに並んで座ると競馬の話の続きが始まった。確かに「静かなところ」だけど…。何だか落ち着かないまま、競馬トークに花が咲いた。