夜7時半、時間通りに六本木のホテルに現れたのは、キャメルカラーのミニコートに身を包んだ長身の美女。髪の色や長さこそ当時と違うが、ひと目見て本物のK・Mだとわかった。コートの下には当時を彷彿とさせるボディコンのミニワンピを着ていて、スタイルも変わっていなかった。
「こんばんわ。レースクイーンのK・Mさんですよね。ファンでした」
そう言うと、彼女は一瞬、ハッとした表情をしたが、正直に、
「そんなようなお仕事をしてました」
そう言ってくれた。人違いだと言えばそれで終わってしまうものを、正直に認める潔さはファンとして嬉しい。ただし、「他人には言わないでくださいね」と口止めされてしまったが。
メディアに出るような仕事をしていたのは、レースクイーンやコンパニオンを含めて3年程度。
「最初からあのお仕事で有名になろうとは思ってなかったんです。ファーストステップというよりは、単なるお仕事だった」
なぜ風俗に? という答えにくい質問にも、
「その後起業したんだけど、お金のトラブルで」
借金ができ、それを返すために転じたという。ちなみに当時のギャラは時給制で、「普通のOLさん程度」だったらしい。
「1年くらいで借金はすべて返済したんだけど、このまま普通に就職しても、人生の中でこの仕事が活かせないでしょう。やるなら3年は頑張ろうと思って」
そして小さな声で、「ごめんね」とも…。
「でも、このお仕事も今年いっぱいで卒業するの」
そう言うと、彼女の方から芳醇で柔らかく、甘い唇を重ねてくるのだった。
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