そんなことを頭の隅に置いて鑑賞するのだが…、なんかちょっと堅苦しくない? 特にナレーションが。聞いていると頭に浮かんでくるのは、赤い縁のメガネをかけ、銀行に務める超堅物のお局か、問題発言を繰り返したり、部下にクーデター起こされて辞任する女性大臣に思えてしまうのだが(笑)。
それに、出演者のセリフだ。風俗に来て、
「は、初めまして」
って挨拶するかなぁ…。初風俗ならそうなるのか? 筆者みたいにズブズブに慣れきった自称風俗ツウとは違って…などと思いつつ観進めるうち、ハタと思い当たった!
そうか、この「SODロマンスシリーズ」って、官能小説を実写化した作品なんだ!
どおりで、文学化された下ネタナレーション満載なはずだ。事実、フランス書院とのコラボ作品もあるようだし。
ようやく、頭の隅に引っかかっていたモヤも吹っ切れ、作品に没頭して観進めていると、その真面目なシーン作りに引き込まれてしまった。
普通のAVなら、あざとい喘ぎ声や潮吹きに電マなど、派手な演出で興奮を誘うのだが、本作はごくノーマルなセックスシーンが続く。それだけに、実に生々しい。
「そうそう、マットヘルスってこうなんだよなー」
という、誰でも知ってる(?)ことだけに、感情移入しやすいのだ。明里の大きすぎないオッパイや黒々とした陰毛、程よく肉のついたウエストなど、どこの人妻ヘルスにも2、3人はいそうな親しみやすさや、経験したことのある普通のセックスに自分の体験を重ね、知らない間に勃起しているのだろう。
しかし、製作者の意図に反して、思わず笑ってしまうところもあった。それは、
ナレーションの声がいきなり高い女性の声に変わったところ。
「ああ、ひとり二役やってるんだろうな」的にニヤリとしてしまった。そしてもうひとつ、お局行員か女性大臣的なナレーションで、「オマ●コ」や「愛情いっぱいの逆仏壇返し」なんて言われると、ニヤリを通り越してしまうのだった(笑)。