そんなYさんが、ある日、初めて一人で来店したんです。かなり酔ってる様子で、ふらふらと店に入ってきて、ドカッとソファに腰を下ろす様子を待機席で見ていました。一人だから、嫌みを言われてもフォローしてくれる同僚さんがいない。つくのイヤだな~って思っていると…。
「百華さん、ご指名でーす!」
店内に響いたその声にめちゃくちゃ動揺しました!
は? 百華って言った!?
だって、意味がわからないですもん。前回私が何かやらかして、それで怒って文句でも言いに来たのかと思ったりしました。
「Yさん、こんばんは」
恐る恐る声を掛けて隣に座ると、Yさんはいつもは考えられないような柔らかい口調で、
「おう。何か好きなの飲みなよ」
って言ってきたんです。ドリンクいただいたのもその時が初めてでした(笑)。
「おひとりなんて珍しいですね。まさか呼んでくれると思ってなかったから、間違いかと思っちゃいました」
そう話しかけると、少し間を置いてからYさんは言いました。
「うーん…なんかね~。会いたくなったっていうか」
「えっ、私にですか? 嬉しい~っ」
マジかよって思ったんですけど、実際ちょっと嬉しかったんですよ。まさかYさんが!みたいな。
「いやいや、ほんとに…君って全然俺の好みじゃないんだけど、結構…」
「…好きかも―」って、視線を下に落としたまま小さい声で呟かれたのは不意打ちでしたね。ちょっとドキッとしちゃいました。チョロいでしょ、私って(笑)。