つまり、幼少の頃から何ひとつ不自由なく育ったわけだ。それでも、カノンさんは「ずっと女子校だったから、異性関係は不自由でしたよ(笑)」と笑う。
彼女が通っていた学校は、“あるある”なのかレズビアンが多く、カノンさん自身もそれが普通と思っていたそうだ。
「男性が好きな友達もいたし、バイセクシャルの友達とかもいました。だけど、普通の女のコが男性と付き合うのと同じ感覚で女のコ同士で、ってなっちゃうんです、学校の雰囲気として。
私自身は、中学2年生の時にバスケットボール部の先輩にコクられました。好きって言われることに悪い気はしなかったし、ごく普通に…」
普通の感覚でこの先輩を受け入れたカノンさん。学校がエスカレーター式だったこともあって、先輩との関係は中学から高校にかけて4年間も続くことになったという。
「当然、女のコ同士でセックスはできないから、ずっと処女でした。彼女とのエッチは、裸で抱き合って、キスして感じるところに触れたり舐めたりという感じ。お互いに求めあって、それはそれで気持ち良かったし、今、男性と付き合うようになってからも、女同士の感覚は忘れられないものです」
つまり、彼女はロストバージンまでレズだったのだ。そして、今でもレズビアン専用風俗を利用することがあるのだという。それなのに、なぜ男性を相手にする風俗で働くことになったのだろうか。
「大学になると、私みたいにエスカレーター式で上がってきたコばかりじゃなくて、他の高校から入ってくるコとも知り合うわけです。それで、他の高校から来たコと仲良くなって…。まぁ、私が一方的に恋心を抱いたんです。そのコが学費を稼ぐために風俗で働いていたんです」
その友達から風俗のことを聞いた時、カルチャーショックを受けるかと思えば、そうでもなかった。風俗を知らなすぎて、「あっ、そういうバイトもあるのね」と、職業のひとつとして受け入れてしまったという。
その後、その彼女に男性経験がないことを知られることになり、「カノンちゃん、可愛いのにもったいないよ」という流れから、「私と一緒にバイトする?」という展開に。
風俗自体を知らなかったことと、ほのかに憧れていた友達とバイト先でも一緒にいられるという気持ちもあり、その時、カノンちゃんは素直にうなずいてしまったのだという。ちなみに、当然のことながら両親には風俗で働いているとは言えず、
「演劇を勉強したいから劇団に入ったと嘘をついています、今も。そうすれば、派手な髪型も役作りってごまかせるから(笑)」
とのこと。そのため、大学在学中は親から小遣いもきっちり貰っていたそうだ。
こうして風俗業界入りしたカノンちゃんだったが、実はこの誘いには裏があった。