「結局、親もカードを使わせてくれなくなって…。でも、同じ時期に転機が訪れたんです。コスプレをする人をコスプレイヤーとか縮めてレイヤーって呼ぶんですけど、そんな人たちが集うイベントがけっこうあるんですね。そういうレイヤーのイベントに参加するようになったら、なぜか注目を集めるようになって…」
その結果、撮影会では長い行列ができ、専門誌の表紙に起用されたりもしたという。本人は「まだ十代で、若いというだけで注目されたんでしょ」と謙遜するが、コスプレ業界ではちょっとした有名人になった。
「高校生のお小遣いとしては充分すぎるほどのお金を稼いでいたんですけど、職業にするほどではなかったんです。でもコスプレに夢中だったから勉強もしていなくて、進学も無理…。それで“あっ、風俗ってのもあるな”と思って、高校を卒業して、4月1日に速攻で面接に行きました(笑)。風俗を知っていたのは、ロストバージンの相手がキッカケなんです」
コスプレイヤーとして有名になったアスカさんにはファンもつき、「30人程度でしたが…」と前置きしたうえで私設ファンクラブがあったことを教えてくれた。その多くが“カメコ”と呼ばれるカメラ小僧、つまりコスプレイヤーを撮影することが趣味の男性だった。その中のひとりに“個人撮影”を頼まれる。アスカさんが高校2年になったばかりの頃のことである。
「コサツ(個人撮影)は、スタジオを借りてやる人もいるけど、ラブホテルで撮影するパターンも多いんです。それで、ファンクラブのリーダーだった当時30歳くらいの男性から頼まれて…。もちろん、性行為はしないと誓約書を交わして撮影するので、安心していました。それで月に1、2回、受けていました」
その相手も紳士的で、たとえホテルで撮影していてもアスカさんに手を出すことはなかったという。また、彼女自身も「コサツでは1回で3万円から5万円をもらっていたので、割のいいバイト」としか思っていなかった。しかし、ある日、カラダの異変に気づくことになる。
「3回目くらいの時からですけど、シャッターを押されるたびに身体がジンジンするというか、おしっこをガマンさせられているような気分になってしまったんです。それでトイレに行くと、下着が濡れていて…。最初は漏らしたかと思ったけど、スグに私、感じているんだなって」
そう思うと、撮影されるのが恥ずかしくなってきた。男性もそれに気付いたのか、アスカさんのカラダを求めてきたという。
「その時は断りました。だけど、その後もコサツは続けて、そのうち“私が疼くのは、この人が好きなのかも”と思い込むようになりました。そして、17歳になったばかりの秋のコサツで求められて…」
撮影場所がホテルだったので、そのまま処女喪失の流れとなったが、彼が元々コスプレイヤーとしてのアスカさんが好きだったこともあり、コスチューム姿のままことに及ぶことを望んだ。しかし、彼女はこれを断固拒否した。
「レイヤーの間では、コスチューム姿のままセックスすることは御法度なんです。邪道だって先輩レイヤーから教えてもらっていたので…。やっぱりコスチュームは私たちにとって聖域なんです。私、ストイックなレイヤーだったから、その教えは守ったんです。ただ正直に言えば、コスチュームを汚したくないとも思いました。キャラクターのコスチュームって、装飾品が多くて洗濯するのが大変なんです(笑)」