まずは週末に一緒にDiscoteca(クラブ)へ行く約束をした。
M「いいわよ! いきましょう! Jも来るんだよね?」
彼女は紹介に至った経緯、つまりぼくがMを異性として気に入っていることを知らない。
この段階で、Mから見たぼくの立ち位置は、あくまでJの友達だ。
日本でよくあるお付き合いを見据えた紹介とは状況が異なる。
2人で会えないが、これは仕方ない。
当然の流れだし、Jを誘わない方がおかしい。
こうして、Jも含めて数人でDiscotecaに行くことになった。
運悪く、その日はなぜかMとのコミュニケーションミスによる小さなトラブルが重なった。
レストランで変更を頼んだはずのメニューが、Mの勘違いでキャンセルされてしまったり、Chargeを払って入場したDiscotecaの音楽ジャンルが目的のものとは違っていて、すぐに退店しようとしたけどChargeを返金してもらえなかったり。
自分のせいで無駄なお金を払わせてしまったMのテンションはだだ下がり。
手をつないでサルサを踊ったり、距離が少しは近づいたが、この日はまったく盛り上がらないままお開きになった。
その後、Mをデートに誘ってみたものの、すでに年末だったため「家族と過ごす」との理由で断られてしまった。
そして大晦日。
ぼくは彼女の家に招待された。
コロンビアではクリスマスや年末は家族と過ごすもの。
特に年越しは親戚が集まってパーティーが催される。
その場にぼくは招待されたのだ。
日本人の友人Jはすでにその街から離れていたので、この日お呼ばれしていたのはぼく一人。
ぼくは「Jの友達」から「家族公認の男」になろうとしていた。
紳士たるもの、手ぶらでお邪魔する訳にはいかない。
いろいろ考えた結果、ぼくは手作りのブラウニーを持参した。
この作戦は大成功。
家族や親戚ほぼ全員が大絶賛だった。
日本人の味覚なめんなよ。
お世辞もあるかもしれないが、ケーキがすぐになくなったので、本当に好評だったんだろう。